指先の死 無人機を操るウクライナ警察官

前線では、ウクライナ軍人と並んで警察官もロシア軍と戦っている。

執筆・写真:ドミトロー・スモリイェンコ(ザポリッジャ)

現在、ウクライナの警察特殊部隊は、他の防衛戦力部隊と共に、襲撃作戦や砲撃修正、敵背後の偵察、敵殲滅に参加している。国家警察ザポリッジャ州総局のアルテム・キシコ局長は、警察官は、基本的任務と、前線隣接地域に特徴的な追加的任務の両方をこなしていると述べる。追加的任務とは、避難の実施、人道ミッションへの同行、敵砲撃の被害やその他占領軍の犯罪の記録である。

キシコ氏は自分の部下の活動の特徴につき、「加えて、ウクライナの警察官は保安庁(SBU)職員と一緒に、第一に防諜任務も遂行している。第二に、私たち特殊部隊の隊員たちは、前線の戦闘活動に直接参加している。それは、迫撃砲班や狙撃班やFPV無人機班であり、また軍司令部の他の任務もある。私たちのところの専門家の利点は、彼らが地元住民であることから、地域、植林地、渓谷、道をよく知っており、それが当然、戦闘課題や割り当てられた戦闘活動を遂行するのに役立っていることである」と説明する。

現代の武器

現在の戦争では無人機やFPVの話で持ちきりであり、私もこの機会にそれを仕事に持ち込むことにする。警察の大尉で無人機課課長であり「イノイ」というコードネームを持つ班長は、自分の課がザポリッジャ特殊部隊内に設置されたのは1月1日であるにもかかわらず、すでにあらゆるところで無人機を飛ばして、戦闘任務を遂行しては、敵の陣地を見つけ、破壊し、部隊内の迫撃砲班の砲撃を修正し、敵の無人機を発見していると述べる。イノイ氏は、FPV無人機が現代の武器となって久しいとの一般的見方を肯定した。

人々がインターネットで拡散されている見慣れた美しい映像は、無人機操縦士の仕事の内の最終局面を写したものであり、短時間の効果的なものだ。全ては簡単で気軽に見える。鮮やかで美しい死。戦いではなく冒険で、命ではなくコンピューターゲームかのようだ。

現実は、全く異なる。私たちはオリヒウ市の廃墟を素早く通り過ぎる。前線隣接地域の未塗装の道は破壊された村々を縫うように高地へ続く。新しい砲弾飛来によって特殊部隊隊員が慣れ親しんだルートが狭まり、とにかく何とかして進まねばならない。荒れ果てた景色が火砲の砲撃音で活気付き、飛来音と発射音がこだまする。到着し、エンジンを切り、車両を隠し、さらに事前に選んだ地点へと数キロメートル進む、早足で。アンテナ、支柱、無人機、電池、スターリンク、ポータブル電源、防弾、武器、最低限の食べ物、機材、全てを手に持っている。零下の時は良いのだが、私たちの冬は、泥の中を歩くはめになることが多い。

地点は何よりも十分に安全で、敵から隠れた状態で、高地に位置せねばならない。高地は、アンテナを安定して使うために大切で、その後の飛行のための絶対条件となる。

FPV無人機操縦班は、部隊指揮官、パイロット、充電・運転担当、それから対無人機支援グループで構成される。

無人機操縦の秘密

今日、警察のFPV部隊は、国家警護隊のFPV部隊と連携して活動している。彼らは、有効的部隊の連携能力を鍛えて、経験や無人機操縦の秘密を共有し、2機の無人機で標的を攻撃する将来のデュアルフライトに向けた訓練をしたいと思っている。そして、今日は、国家警護隊の経験ある操縦士、コードネーム「キート(猫)」が、今日初めて戦闘フライトを行うコードネーム「チェチニャ」に自信を与えようとしている。

陣地では、皆がてきぱきと動き、アンテナを立てて、ケーブルを引き、通信を確認し、無人機とバッテリーを準備し(攻撃対象に応じて複数種が用意されている)、標的に関する空中偵察からの情報を待つ。標的を発見すると、閉鎖チャットで電波チャンネルを予約する。

充電担当が離陸の準備をする。指令が送られる。

「飛行準備完了」

「ローターよし」

「動画よし」

「遠隔測定よし」

「起爆装置接続」

「保護部解除」

「エンジン起動」

「障害なし、飛ばせ」

「発進」

「チェチニャ」の最初の勝利

まず、「キート」が飛ばす。目標は弾薬集積地だったが、彼のFPVは敵の電子戦機器のジャミング空間に入ってしまい、通信が途絶え、無人機を失ってしまった。皆が悲しむ。

次は「チェチニャ」の番だ。彼は21歳。警察に入ったのは、19歳の時で、全面侵攻の直前だった。典型的陰キャで、学校ではコンピューターゲームに夢中で、そこからFPVにも惹かれていった。その若い楽しみが、大人の人生で役立ち、ゲームの腕が敵殲滅に役立っている。無人機スクールで訓練を受けた。昨日まではシミュレーターと操縦訓練だったが、今日は最初の戦闘だ。彼のことを、皆が良い意味で心配している。

早くなる呼吸と狭い視野。操縦士のゴーグルには自分の前の狭い空間しか映されないが、仲間が空中偵察用Mavikの映像で、ルートを示し、空間を定め、目標を探す。

「標的発見。さらに転回、左、左、下、下…」

そして、この攻撃の瞬間に、真実の時が訪れるのだ。全てが操縦士の手の動きに委ねられる。それが、チーム全体の全ての仕事の集大成となる。いや、手ですらない。コントローラを動かす指先の動きが、対決にとっての決定的な瞬間となり、それが占領者に然るべき死をもたらすのだ。

「よし!」

標的に着弾。こうして、ザポリッジャ州の警察官、若い操縦士の「チェチニャ」は、FPV無人機での最初の勝利を獲得したのだ。