ザポリッジャ原発、ロシア軍砲撃により第5原子炉が緊急停止

ウクライナの原子力発電公社「エネルホアトム」社は1日、ロシア軍が占領するウクライナの町エネルホダルに対して迫撃砲で攻撃したことにより、同市に位置するザポリッジャ原発の緊急保守システムが稼働し、第5原子炉が緊急停止と報告した。

エネルホアトム社がテレグラム・チャンネルにて伝えた

発表には、「今日、2022年9月1日4時57分、ロシア占領軍のさらなる迫撃砲砲によるザポリッジャ原発の敷地砲撃により、緊急保守システムが稼働し、稼働中の5号機が停止した」と書かれている。

また、ザポリッジャ原発が必要とする予備電源の電線が損傷し、停止中の2号機ではディーゼル発電機が稼働したという。

同社は、これは過去10日間で原子炉の緊急停止、原発の停電の2回目の事例だとして、ロシア軍を避難した。なお、6号機は、ウクライナの電力システム内で稼働し続け、ザポリッジャ原発自体が必要な電力も同機がまかなっているという。

ウクライナのイェルマーク大統領府長官は、テレグラム・チャンネルにて、ロシアはエネルホダルとザポリッジャ原発の敷地を砲撃することで、国際原子力機関(IAEA)調査団の訪問を破綻させ、自らの犯罪を隠したがっていると伝えた

イェルマーク氏は、「ロシア人は、エネルホダルとザポリッジャ原発敷地を砲撃した。彼らは、IAEA調査団の訪問を破綻させたがっている。それは、世界が真実を知ることを恐れるテロ国家の行動だ。ロシアこそが、ザポリッジャ原発とエネルホダルで起きていることの全ての責任を負っている。犯罪者は止めなければならない」と強調した。

また、ウクライナ外務省のニコレンコ報道官は、ツイッター・アカウントにて、国際原子力機関(IAEA)調査団がザポリッジャ原発へと向かう際に利用するルートに対して、ロシア軍が砲撃を強めていると指摘し、「ロシアは、その危険な挑発を速やかに止め、IAEAに安全な通行を認めるべきだ」と主張した

ウクライナ国防省情報総局は、テレグラム・チャンネルにて、ロシア軍は、1日朝からエネルホダルの住宅街を攻撃ヘリKa-52や迫撃砲で攻撃したと報告した

情報総局は、それらの攻撃は、IAEA調査団挑発計画の一部であり、クレムリンにとって必要な絵を作り出すことを目的としたものだとし、ロシアがこれまで同様ウクライナ軍に対して原発や民間人を砲撃したと非難しようとするのは明白だと指摘した。

なお、これに先立ち、8月31日、IAEA調査団がザポリッジャ市に到着した。同調査団は、今後、ロシアの占領するエネルホダル市に位置するザポリッジャ原子力発電所を調査のために訪問する予定となっている。

他方、オルロウ・エネルホダル市長は、1日朝から同市は迫撃砲の砲撃をずっと受け続けていると発表している

ザポリッジャ原子力発電所は、欧州で最大の原発であり、3月4日にウクライナを侵略するロシア軍に制圧された。以降、ロシア軍は、同原発敷地内に軍事機材や弾薬を配備し、敷地から近隣のウクライナ政府管理地域を攻撃したり、ウクライナ軍の攻撃に見せかけて原発敷地を攻撃したりしている。

G7外相は8月10日、ロシア連邦に対して、ザポリッジャ原子力発電所の完全な管理を直ちにウクライナに戻すことを要求する声明を発出している。

修正(1日15時12分):第5原子炉が停電→第5原子炉が緊急停止