バービン・ヤールの悲劇から80年 追悼式でゼレンシキー大統領演説

バービン・ヤールの悲劇から80年 追悼式でゼレンシキー大統領演説

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ウクルインフォルム
ナチス占領下のキーウ(キエフ)におけるユダヤ人を中心とする民間人の大量殺害「バービン・ヤール(バービー・ヤール)」から80年が経過したことを受け、6日、キーウ(キエフ)市内で追悼式典が開催され、国内外の要人が出席した。

ウクルインフォルムの記者が伝えた。

式典には、ゼレンシキー大統領、ヘルツォグ・イスラエル大統領、シュタインマイヤー・ドイツ大統領が出席した他、ジョージア国会議長、スウェーデン国会議長など、各国の代表者が参加した。

また、ホロコースト追悼センター「バービン・ヤール」の新たなモニュメント「嘆きのクリスタル壁」が発表された。

写真:ヘンナジー・ミンチェンコ/ウクルインフォルム

ゼレンシキー大統領は、式典時に記念演説を行った。大統領は、「80年前、ここで凄惨な犯罪が起きた。私がこれから述べることもまた、ひどいのものである。そして、その中でも最も凄惨なのは、それら全てが神話なのではなく、現実の出来事だということ、第二次世界大戦、占領、ホロコーストという名の最悪の現実の中で実際の人間に起きたことだということだ。その『ウイルス』の世界的拡散は、キーウで始まった。1941年9月19日、キーウはナチスに奪われた。世界中の墓地作りの専門家である彼らの目には、キーウ周辺の深い雨裂(うれつ、ヤール)が飛び込んできた。そこにおける最初の血は、1週間後には流れている。ヒットラーの部下たちは、パウロウ記念精神病院の患者752名を銃殺したのだ」と発言した。

大統領は、ナチス政権の人々は、「雨裂の容積を測り、どれだけの死体を積められるか、自分たちの野心である、産業的規模の殺人に合致するかどうかを理解するために」その患者を殺したのだと説明した。

また大統領は、「最初の2日間、ナチスの人々は、バービン・ヤールで3万3771名のユダヤ人を殺した。男性はもうほとんど皆前線へ行っていたため、ここで殺されたのは、主に高齢者、女性、3歳以上の子供である。というのも3歳未満の子供に関しては、ナチスの人々は惜しむことなく数を数えずに殺したのだ…。死体の層が2つ、土の層、そしてまた死体の層、また土の層…。雨裂の上は、昼夜問わずナチスの飛行機が旋回し、その騒音が銃撃音を掻き消していたが、しかし、おそろしい喚き声は掻き消せなかった。目撃者たちの証言では、その声はバービン・ヤールの上を何日にもわたり響いていたという」と伝えた。

大統領は、その後の2年間で、キーウのユダヤ住民のほぼ全てが銃殺され、その後は、ロマ、ウクライナ人、捕虜、秩序違反者が殺され始めたと指摘した。

その上で大統領は、「ここに永遠に倒れた者の数を確実に述べることは誰もできない。ニュルンベルク裁判では、約10万人だと話されていた。現在、新たな研究によれば、20万人近い数であった可能性もあるという」と発言した。

続けて、大統領は、「それは、自らを人間だと思っている全ての人に関わっていた。なぜなら、ここで起きたことは、手に対する犯罪であり、人間という概念に対する犯罪だからだ。恐ろしく聞こえるかもしれないが、バービン・ヤールは、人間の最悪の形と最善の形の記憶である。殺す人、他者の手により殺される人、良心と黙ることで合意する人、あるいは合意する良心を持たず、その犯罪について全身全霊の声で叫んだ人、銃殺をしながら正しいことをしていると信じている人、人を救いながら正しいことをしていると理解している人」と述べた。

大統領は、ホロコーストの際にユダヤ人を救ったウクライナ人の存在を喚起し、「私たちは、その人々皆を知っているわけではない。私たちは、ホロコースト期にユダヤ人を救った人々一人一人が『諸国民の中の正義の人』の呼称を得られるよう、彼らの物語、彼らの活躍を知るべきである。その物語が知られている人々の中には、現在2659人のウクライナ人がその呼称を得ている。私たちは、彼ら一人一人を誇りに思うし、私たちは、国の主要な価値が、イデオロギーではなく、『人間』そのものである国家で常にあり続ける」と強調した。

なお、バービン・ヤールの悲劇とは、1941年9月29、30日、ナチスに占領されていたキーウのバービン・ヤールにおいて、ユダヤ系住民を中心とした民間人に対する最初の大量銃殺が行われたことに始まる一連の事件を指す。最初の2日間で約3万4000人、そして、同年10月11日までに、5万人強の市内のほぼ全てのユダヤ系住民が殺害されている。ウクライナでは、9月29日がバービー・ヤール犠牲者追悼の日と定められている。


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