ウクライナ正教会の独立から2年経過
トモス署名式は、コンスタンティノープル総主教庁の聖ゲオルギオス大聖堂(イスタンブル)におけるヴァルソロメオス全地総主教とエピファニー・ウクライナ正教会首座主教の共同祈祷の後に行われた。トモスは、教会法上、全世界の15の独立した正教会の一つとして、ウクライナ正教会の独立した地位を公式に確認するものとなっている。トモスは、署名とともに発効し、ウクライナ正教会の存在の根拠となる文書となっている。
ウクライナ正教会の独立への道は、長く険しいものであった。最初の独立の試みは、ヘトマン体制・ディレクトリヤ(指導部)体制の時期、約100年前にさかのぼる。しかし、当時のウクライナ正教会独立は、ボリシェヴィキ軍による占領により妨げられた。
ウクライナ正教会独立を目指す動きは、ウクライナの独立により再開される。大きな役割を担ったのは、フィラレート・ウクライナ正教会キーウ(キエフ)聖庁総主教であった。しかし、ロシアは、長年にわたり、このプロセスを妨害し続け、なかなか独立の実現には至らなかった。実現が近づいたのは、2018年になってからである。同年10月11日、コンスタンティノープル全地総主教庁聖会議が、教会法上、ロシア正教会がウクライナ領の管轄権を失ったこと、またウクライナの母なる教会はコンスタンティノープルであることを発表したのである。
これを受け、2018年12月15日、キーウ(キエフ)のソフィア大聖堂にて、統一教会会議が開催され、ウクライナ正教会キーウ聖庁、ウクライナ正教会独立派、ウクライナ正教会モスクワ聖庁が、統一された唯一のウクライナ正教会を創設し、その憲章を確定、キーウと全ウクライナ主教/首座主教としてエピファニー氏を選出した。
ウクライナ正教会の独立のプロセスは、2019年1月5日の署名式の翌6日、聖ゲオルギオス大聖堂におけるヴォルソロメオス全地総主教からエピファニー・ウクライナ正教会首座主教へのウクライナ正教会独立に関するトモスの授与によって完了している。