欧州議会にて、調査報道サイト「べリングキャット」のドキュメンタリー映画が紹介 露の対ウクライナ戦争やシリア介入等

欧州議会にて、調査報道サイト「べリングキャット」のドキュメンタリー映画が紹介 露の対ウクライナ戦争やシリア介入等

ウクルインフォルム
ブリュッセルの欧州議会では、ドキュメンタリー映画「べリングキャット(Bellingcat)」の上映会が行われた。同映画は、ジャーナリストや専門家からなり、ロシアの対ウクライナ戦争やシリア内戦介入といった、重要な問題の調査を行うグループ「べリングキャット」の活動を紹介する内容となっている。

今回の上映会は、オランダのマリケ・シュハケ議員のイニシアティブで開催されたもの。上映会は、これまでにもアメリカとオランダで開催されていた。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

上映会の際には、べリングキャットの創設者であるエリオット・ヒギンス(Eliot Higgins)が会場に登場し、このグループの活動目的、調査手法・手段等について説明した。

ヒギンス氏は、「私たちは、事実に対して非常にていねいに接しています。事実が私たちの活動の基本です。私たちは、人々に対して、言葉で私たちを信じることを求めていません。私たちは、常に事実を提供し、人々が自分で結論付けられるようにしています。これは、私たちの完全に自覚的な立場です。なぜなら、私たち活動の結果が、将来、犯罪者の責任を問う裁判で必要となる可能性があることを理解しているからです。マレーシア航空機MH17(撃墜)事件に関してもそうでしたし、ウクライナ領におけるロシア軍の駐留に関する調査の際もそうでしたし、シリアでの民間人殺害の調査でもそうしていました」と発言した。

ヒギンス氏は、べリングキャットの核となるメンバーは5名以下と少ないが、活動には、非常に多くの支持者やジャーナリスト、専門家、出来事の目撃者が加わり、事実の確立に協力していると説明した。

また、この小さなグループにおける調査テーマの選択は、全くの自由であり、それぞれのメンバーが興味を持ったものを自由に提案することができるとのこと。そして、調査の際は、検索システムを利用しており、多くの場合は、オンライン上の自動検索機能を使っていると説明された。最近の検索システムは、例えば、あるシステム上に誰かの写真がアップロードされている場合、名前だけで自動的にその人物を判別することができるとの説明があった。

同時に、いくつかの調査では、位置情報データの発見や確認、写真での特定の人物の判別などにて、莫大な量の手作業が発生することがあり、何百、何千枚という画像を確認・比較する必要があることもあるとのこと。

ヒギンス氏は、べリングキャットのチームは、2014年のウクライナ東部で撃墜されたマレーシア航空機MH17の調査を継続しており、本件の捜査を行う国際共同捜査グループ(JIT)の作業を支援するための調査報告を続けていると発言した。一方で、同チームは、ウクライナ東部の最近の出来事については最近はあまり注意を払っておらず、イエメン情勢の分析に力を割いているとのこと。

なお、べリングキャットは、これまでに、MH17撃墜に関するロシア政権の嘘を摘発したり、同撃墜に関与したロシア軍人を特定したり、英国ソールズベリーでの露元将校毒殺未遂事件に関与したロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の軍人を特定したり、ロシア連邦国防省が「AC-130 Gunship Simulator」というゲームのキャプチャー画像を使って、「アメリカ軍のIS支援の証拠」と提示したような様々な偽情報を解明したりと、世界の様々な話題の事件の調査を行っている。べリングキャットのメンバーは、主にソーシャル・ネットワークのオープンデータを利用して調査を行っている。

ウクルインフォルムの特派員は、ヒギンズ氏に対して、複数の国の特殊機関によるべリングキャットの評判を落とそうとする試み、例えば、インターネット空間にねつ造した情報を意図的に流し、べリングキャットにそのような偽情報を「つかませ」、結果として信頼を失わせる、というような手口には、どのように対抗しているかと質問した。

この質問に対し、ヒギンス氏は、「実際には、そのようなねつ造情報を流すというのは、非常に難しいのです。なぜなら、それぞれの情報には、独自の論理、独自の歴史、独自の文脈があるからです。事実を探す際には、文脈を考慮することが非常に重要です。この文脈が、そのような偽情報に対する警告の役割を担います。ある新しい情報源が現れて何らかの重要情報を発表し始めたら、当然、疑問がわきます。特に、そのような情報が、人工的には作り得ない一般的文脈に反するようなものであれば、なおのこと疑わしいでしょう」と説明した。

また、ヒギンス氏は、べリングキャットは、いかなる特殊機関とも協力しない、というのがグループの原則的立場であると説明した。また、べリングキャットは、同グループの活動のアプローチや手段に関心がある人たちにセミナーを行っているとのこと。

ヒギンス氏は、現在のソーシャル・ネットワークでは、あらゆる情報を見つけることが可能となっていると説明する。このようなオープンソースを用いることのメリットは、得られた結果を、公式な捜査機関の捜査結果といった、その他の情報源と照らし合わせて確認することが可能である点でだと述べる。事実、MH17撃墜事件の調査の場合も、撃墜に用いられた地対空ミサイル・システム「ブーク」がロシア軍のものであったとするべリングキャットの調査結果が、その後オランダの捜査機関が自ら捜査した後、べリングキャットの結論の正しさを認めることになった。なお、このMH17調査のエピソードは、今回上映されたドキュメンタリー映画の中にも含まれている。


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