「プーチンの目的は全面戦争ではなく、ウクライナと武装集団と直接対話させること」=ドンバス出身記者

「プーチンの目的は全面戦争ではなく、ウクライナと武装集団と直接対話させること」=ドンバス出身記者

ウクルインフォルム
東部ドネツィク州出身の記者であり、ロシア・ウクライナ紛争解決協議を行う「三者コンタクト・グループ(TCG)」にてウクライナ代表団に加わるセルヒー・ハルマシュ氏は、プーチン露大統領の目的はウクライナとの全面戦争ではなく、キーウ(キエフ)政権とドネツィク・ルハンシクの占領者との直接対話を実現することにあるとの見方を示した。

19日、ハルマシュ氏がウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」出演時に発言した

ハルマシュ氏は、露クレムリンは、ドンバス紛争を全面戦争に切り替えたがってはいないと思うとし、「自分に質問をしてみれば良い、『ロシア人は戦争を望んでいるか?』『ロシアの人々は第二次世界大戦後、ウクライナへの全面的侵攻を望んでいるか?』と。私は、望んでいないと思う。そして、私は、プーチンもそのことをよく理解していると思っている。なぜなら、ウクライナを嫌悪し、アフガニスタンのような何らかの軍事作戦が行われたら良いと望むことは、そういう気分であれば、あり得る。しかし、国境線に沿って全面的な侵攻をするというのは、ロシアは望んでいないと思う。なぜなら、プーチンにとって、自国民に誰と戦っているのかを説明するのが非常に難しくなるからだ」と発言した。

さらに同氏は、全面侵攻は深刻な損失が出て、それもまたロシア国民に説明しなければならなくなると指摘した。

同氏は、現時点でのロシアの課題はウクライナと西側を緊張の中に維持することであると述べ、その目的のためにさまざまな手段を利用しているのだとし、最近ではウクライナに駐在するロシア外交官の家族がロシアに出発したとする情報もその一つだと思うと発言した。「外交官が出国するのではなく、その家族を退去させたのだ。ロシア政権に、外交官も退去させるのか、と聞くと『外交官は勤務している』と答える。家族は、状況をかき乱すために退去させることができる。そういうことをモスクワは行っているわけだ。プーチンは、ロシア外務省の職員に、私たちの課題は状況をかき乱すこと、西側を緊張中に留めることだとはっきり述べている。私の考えでは、それが現在起きていることだ」と発言した。

その上でハルマシュ氏は、クレムリンの目的は、ウクライナ政権とドネツィク・ルハンシクの間の占領政権の直接対話を実現することだろうと指摘した。同氏は、「私は、ロシアの現在の主要な目的は、次のことだと思っている。ロシアには、NATOに対し、同機構がウクライナに来ないように要求する必要はない。ロシアにとっては、キーウにドネツィク・ルハンシクと直接対話をさせて、『DPR』と『LPR』を特別地位付きでウクライナの政治空間に設置し、それらを通じてウクライナをコントロールするだけで十分である。そうしたら、ここにはNATOも、NATOの演習も、何もなくなるわけだ」と発言した。

また同氏は、プーチン露大統領の性格も全面戦争シナリオには向かないと述べ、「プーチン政権の20年間が示してきたことは、この人物が基本的には臆病者だということだ。彼は、直接紛争に向かったことは一度もない。2008年の戦争の際ですら、メドヴェージェフ大統領の時であった。つまり、プーチンは、責任を負わなかったのだ。オランド前仏大統領は、回想録の中でミンスクプロセスについて書いているが、彼はそこで『プーチンは攻めない。プーチンは、協議でメリットを得るために、少しずつ噛み進め、支持者と対立者を対立させ、賭け金を高めるのだ』とはっきり指摘していた」と指摘した。

そして、ハルマシュ氏は、現状でもプーチン氏は「他人の手で行動する」だろうと指摘した。「つまり、私たちを待ち受けるのは、ドンバスでの対立、いわゆる『共和国』なるものとキーウの対立だ。その場合、予定されている制裁はプーチンには科されないだろう。彼は、それで西側に復讐する。そして、彼の考えでは、それが(ウクライナの)国内不安定化、騒動の引き金とならなければならない。もしかしたら、政権崩壊になることも考えているかもしれない。つまり、(私たちは)そのような事態に向けて準備をしなければいけない」との考えを示した。

ハルマシュ氏は、次回のTCG会合は1月26日に開催され、その際に、ロシア代表団がどのように振る舞うかをよく見る必要があるとコメントした。


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