オレクシー・ダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)書記
ウクライナの親露テレビ局は、マスメディアでなくマス破壊手段である
11.03.2021 12:09

コロナウイルス感染症(COVID-19)拡散が続く中、ワルシャワにて、ウクライナとポーランドとリトアニアという「ルブリン・トライアングル」3国の安全保障機関のトップの会談が開催された。参加者たちは、ハイブリッド脅威や、そのような脅威を中和するための共同行動戦略確定のための協議を行なった。

ウクルインフォルムの記者は、ワルシャワを訪れたウクライナのオレクシー・ダニーロウ国家安全保障国防会議(NSDC)と話をした。

聞き手:ユーリー・バナヘヴィチ(ワルシャワ)


新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は地域の国々にとって共通の脅威

ダニーロウ書記、「ルブリン・トライアングル」フォーマット参加国の協力には、どのような展望がありますか。近々、3か国の大統領は会談を行いますか。

それはウクライナだけでなく、ポーランドとリトアニアの友人たちにも左右されることです。同フォーマット参加国の国境周辺で起きていることからして、同フォーマットの存在は、現在、自然かつ意味のあるものです。

大統領会談についていえば、今年中に彼らが会う可能性は99.9%です。まず、ウクライナの独立30周年記念式典で会います。今はまだ、ルブリン・トライアングルのフォーマットで会うかどうかについて確実なことは言えませんが。

ウクライナ、ポーランド、リトアニアの協力は、現在、どの分野が重要ですか。

私たちは、多くの共通の問題の作業をしています。私たちには、個別の軍部隊があります(聞き手注:リトアニア・ポーランド・ウクライナ旅団)。私たちは、しばしばリトアニアのサイバー・セキュリティ専門家と対話しています。また、(ポーランド国家安全保障局局長の)パヴェウ・ソロフ・ポーランド国家安全保障局長官とも常にコンタクトを取っています。今回の会談は、COVID-19のある中、短い期間中の5回目の直接会談です。さらに私たちは遠隔でも頻繁に対話しています。協力は集中的に行われています。

パヴェウ・ソロフ・ポーランド国家安全保障局長官は、最近ブカレストを訪問した後に、ウクライナは、ルーマニアを含むものをはじめとする、その他の地域フォーマットに加わることにも関心を抱いていると述べていました。どのフォーマットのことでしょうか。

私たちは、ソロフ氏とその件について何度も話しています。ルーマニアは、私たちの話しているプロセスにアクセスすべきです。それが個別のフォーマットなのか、ルブリン・トライアングルの拡大なのかは、大統領や外相レベルで決められることです。

どの分野でウクライナとワルシャワの関係深化が起こる可能性がありますか。

私たちの間には、多くの接点があります。何よりまず、エネルギー分野です。ポーランドは、ロシアとドイツのプロジェクトである「ノルド・ストリーム2」が欧州にとって非常に危険であると主張する国の一つです。それは私たちの共通の挑戦です。私たちは、その問題がどのように集結するか知りませんが、しかし、私たちにとって、そのプロジェクトが経済的にだけでなく、地政学的観点からも危険であることは知っています。ロシアは、エネルギーを他国への影響力行使の手段として利用しています。私たちは、彼ら(ロシア)がヤヌコーヴィチをガス料金値下げで買収したことを覚えています。エネルギーは、ロシアが頻繁に利用している武器です。

ロシアはコロナワクチン「スプートニクV」で外交ゲームをしている

ポーランドは、ウクライナに対してアストラゼネカ製ワクチン120万回分を売却すると約束しましたが、ポーランドへのワクチン供給自体の時期がなんども変更されており、さらにポーランドは、自国で余った場合のみ売却すると発表しています。しかし、現状は、ワクチンは不足しています。ウクライナは、いつそのワクチンを受け取れるのでしょうか。

現在、世界中でワクチン接種の第一の波が続いており、それはウクライナでも同様です。それは、厳しい挑戦です。思うに、1、2か月でワクチン問題は全て軌道に乗るでしょうし、本件に関する否定的な憶測もなくなるでしょう。世界の製薬分野が近い将来この挑戦に答えを出すでしょうし、それによりワクチンへは十分以上のアクセスができる状態となるでしょう。

ウクライナの西の隣国であるハンガリーやスロバキアは、ロシアの「スプートニクV」を国民に接種しています。ただし、欧州医薬品庁はそのワクチンを認可していません。彼らは、ロシアによるワクチンの押し付けもまた、同国の欧州分断のハイブリッド行動の一要素であることなど認識していないのでしょう。あなたは、本件についてどう考えていますか。

プーチンを起点に何らかの行動を始めようとする人たちは、歴史を見返すべきであり、物事がどのように進展し、どのように帰結するのかを理解すべきです。

概して、その問題は大変複雑です。もしロシアが、世界で認められるに値するワクチンを持っていたとしたら、それは何よりまず自国民に接種させるはずです。それにもかかわらず、ロシア国内のワクチン接種の割合は、極めて低い状態です。ロシアからの外交ワクチン・ゲームが行われているのだと思います。

欧州をコロナ感染の第三の波が襲っています。隣国のチェコとスロバキアでは、困難な感染状況が続いており、厳しい制限措置が敷かれています。ポーランドでは、いわゆるコロナの英国変異種による感染が続いています。ウクライナにもその変異種はすでに入ってきています。NSDCのレベルでは、今より厳しい制限の、新しい全国規模の都市封鎖施行の可能性に関する決定を予定していますか。

今のところ、本件に関するNSDC会合を開催する必要性はありません。そのような会合は、昨年の3月に開催されています。その際、全ての必要な指示が作成されました。ウクライナでは、関連決定を採択する機関が現在活動しています。

私たちは、安全保障と国防の緊急対策機関として、全ての問題が現場の各領域共同体の担当部署にて検討されるようになるように、提案をしています。そのような領域共同体は、現在1002形成されています。感染症専門家が個々の領域共同体において、その時その時の感染状況に評価を下し、現場でコロナ感染を防ぐ方策をとることになっています。

ロシアの言説の拡散は世界にとっての挑戦

最近、親露政治家のヴィクトル・メドヴェチューク氏と、彼のテレビ局3局に対して制裁が科されました。専門家の中には、メドヴェチューク氏と、同氏に近い、テレビ局所有者のタラス・コザーク氏がNSDCの決定を裁判所で訴えることを恐れている者もいます。ウクライナの裁判システムの腐敗レベルを知っているだけに、私たちは、どのような判決が下されるか予想できません。あなたは、そのような逆行に対する準備ができていますか。代替プランはありますか。

私たちは、どのような展開に対する準備もできています。一つ強調するなら、それらテレビ局はコンテンツそのものによってではなく、経営体制によって業務を止められたということです。そのテレビ局の所有者は、テロリズムへの資金供与の容疑がかけられています。コザーク氏にそのような容疑がなければ、これらの局は経営を続けられていたでしょう。私たちは、その点をワルシャワでの会合でも強調しました。もしある人物がテロ資金供与に関与している場合、欧州コミュニティはそこに注意を向けるべきです。それは、EUにとっても危険なことです。

3局に続いて、メドヴェチューク一派が新しく獲得した「第一独立」放送も停止となりました。その放送に関しても、NSDCの決定があったのですか。

NSDC会合では、その件は審議されていません。もう一度強調しますが、ウクライナは、外部から国内への影響力行使の試み全てから身を守っていきます。理解すべきは、現在ドネツィク・ルハンシク両州でのロシア連邦による物理的な戦争だけでなく、情報戦争も起きていることであり、それは、どの国にとっても同様に危険であるということです。ロシア発の言説が世界中へ拡散されていることもまた、多くの国にとっての挑戦です。ロシア外務省のセルゲイ・ラヴロフ外相は、ロシアはロシア人ではなく、ロシア語話者を守っていると述べていました。それはつまり、ロシア語の世界中への普及は、多くの国にとって危険が生じるかもしれないということです。なぜなら、ロシアが相手国の同意なく勝手にロシア語話者を守り出すと言う状況に陥るかもしれないのです。それは私たちの思いつきではなく、ラヴロフ露外相の発言です。

多くのメディア専門家は、最高会議が、関連法を採択していたら、敵のプロパガンダとの闘いははるかに楽だろうと述べています。その法律に、第二次世界大戦時に複数の国にあったような、国内メディアのためのレッドラインが詳細に記述される、という形です。あなたは、どうして戦争開始から7年経った今も、そのような法律が採択されていないのだと思いますか。表現の自由と国家安全保障の間の線がどこにあるかは、理解されなければならないと思います。

確かに、線はないといけませんが、しかし、ある種の仲裁者も必要です。また、いくつかのテレビ局の活動は、表現の自由と一切関係がないことも理解すべきです。彼らは、注文を受け、マスメディアとしてではなく、マス破壊手段として活動しており、侵略国の言説を流し、ロシア連邦から受け取った情報を拡散しています。私たちにとって、それは絶対に受け入れられません。

報道に関する法案は、最高会議にすでにあります。ですから、その質問は、議員に向けられるべきものです。

ウクライナの複数の裁判所、裁判官の判決は、かなり論争的なもので、しばしば司法を強化するのではなく、国家安全保障に脅威をもたらす判決を出しています。NSDCは、そのような有害な判決を中和する手段を検討していますか。

私たちは、全ての裁判官を同列に扱うことはできません。しかし、個別に決定的な出来事が起きているのは確かです。それぞれの事例につき、詳細を把握し、どうしてそうなったのかを解明しなければなりません。

同じ裁判官が、ある犯罪者には7年の実刑判決を下し、他の者は無罪にするという、おかしなことが起きています。それは、社会に説明することの困難な問題です。さらに、ウクライナでは、裁判審理が5、6年と長い年月続くことがあります。7、8年にもわたり、捜査対象であり続け、判決を知ることができないというのは、異常です。

ウクライナはロシアの行動に対する反応を用意している

メドヴェチューク氏への制裁に対してのプーチン露大統領からの仕返しへの準備はできていますか。前線では、すでに情勢激化が起きていますが…。

ウクライナ東部情勢の激化は、ロシア連邦がそれらの出来事に直接関係を有していること、それがロシアが指揮するロシア軍であり、同国がドネツィク・ルハンシク両州へ派兵しているものであることを直接的に確認させるものです。

第二に、ウクライナ軍はどんな場所でも侵略国に抵抗する準備ができています。私は、そのことを確実に把握しています。彼らの対策計画は、まずどのようなものか見てみることにしましょう。私たちは、様々なシナリオを想定しており、ロシアがどのような行動をとっても、立派に対応できます。大統領やNSDCだけでなく、ウクライナ国民全体に準備があるのです。

かつてウクライナ元大統領(編集注:レオニード・クチマ第2大統領)が、『ウクライナは、ロシアではない』という本を書いたことがあります。私は、その言葉を、次のように解釈しています。「私たちはロシア人ではない。ウクライナ人は全く異なる人々だ。ウクライナ人は、自由のために命を投げ出す覚悟がある。私たちは、自由な人々であり、大きな欧州の一部である」と。

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