ニカラグアが被占領下クリミアに領事館開設 ウクライナは制裁を準備
10日、ウクライナ外務省が声明を発出した。
外務省は、「アルバ・アスセナ・トレス駐露ニカラグア大使が、いわゆる『シンフェローポリ市居住駐露ニカラグア名誉領事』オレグ・ベラベンツェヴァ市に領事文書を手交するために、ウクライナの同意なく、違法にウクライナ領クリミア自治共和国へ入域したことに関連して、断固とした抗議の意を表明している」と伝えた。
ウクライナ外務省は、本件は、ウクライナ法や、2014年3月27日付国連総会決議第68/272「ウクライナの領土一体性」や、同決議第71/205、第72/190、第73/263、第74/168「クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ市(ウクライナ)における人権状況」、同決議第73/194、第74/17「クリミア自治共和国とセヴァストーポリ市(ウクライナ)、黒海・アゾフ海の一部の軍事化問題」といった国際法への著しい違反行為であると強調した。
外務省はまた、同行為をニカラグアによるロシア連邦の侵略とウクライナ領併合の試みを促す、ウクライナに対する明白な非友好的行為だと指摘した。
加えて声明には、ウクライナ国内法は、外国籍者と無国籍者の一時的被占領地との間の出入域は、ウクライナ領を通じて行うことを定めており、一時的被占領地にてウクライナ国内法が定めていない手続きで作られたり、選出されたり、任命されたりするあらゆる機関、公職は違法とみなされると喚起されている。
外務省は、ニカラグアにはウクライナの主権と領土一体性を侵害する行為は看過できないと繰り返し警告していたことを伝えた上で、ウクライナ側は今回の行為を受けて、制裁発動の準備を開始したことを発表した。
これに先立ち、10日、ロシアの報道機関は、ロシアにより占領下にあるクリミアにて、ニカラグアの「名誉領事館」が「設置」されたと報じ、アリバ・トレス駐露ニカラグア大使がクリミアへ入域したことも伝えていた。
また本年8月、ウクライナ政府は、ニカラグアに対して、同領事館開設意向につき抗議の口上書を送付し、その際に制裁発動の警告も行なっていた。
なお、ニカラグアは、2014年3月27日付国連総会決議第68/272「ウクライナの領土一体性」の投票時、ロシア連邦など11か国(アルメニア、ベラルーシ、ボリビア、キューバ、北朝鮮、スーダン、シリア、ベネズエラ、ジンバブエ)とともに反対票を投じた国(同決議は、賛成100、反対11、保留58で採択されている)。