ドミトロー・クレーバ外相
ドンバス戦争終結に向け、外交攻勢をしかけている。
17.06.2020 15:31

ドミトロー・クレーバ外相とは、同職就任100日目に合わせてインタビューをすることを、事前に合意していた。当然、私は事前に質問を準備していたのだが、情勢が目まぐるしく変化するため、外相への質問は毎日更新しなければならなかった。他方、私たちが知り得ることは、氷山の一角でしかない。

その氷山の一角から対話を始め、幅広い喫緊の問題について触れることが大切である。今回の外相へのインタビューでは、外務省人事、ドンバス・クリミア情勢における困難な問題、ウクライナ機撃墜問題に関するイランとのやりとりなどを尋ねた。


大統領がほめるのは、二つのテーマに関する報告

大臣、ゼレンシキー大統領は最近のインタビューにて、自身は「情報の大海原にいる」と述べていました。大臣なら、自身の受け取る情報量をどのように形容しますか? 大洋ですか、海ですか、あるいはナイアガラの滝でしょうか?

「世界的な大洪水」ですね! 皆が情報の洪水の中にいて、一人一人が少しずつニュースをフォローして、ソーシャルメディアを読んだり、他の人と話し合ったりしている状況です。

また、私のところにはあらゆる方向から莫大な量の専門的情報も入ってきます。その情報に沈没することのないよう、私は、最重要の情報、それをまとめたもののみ私に届けるよう、省内プロセスを構築しています。

大統領は、この就任後100日間で何かのことであなたをほめましたか?

こう言うと謙虚ではないのでしょうが、ええ、賞賛を受けました。賞賛があったのは、複数の国からの人道支援についてや、ナイジェリア、マレーシアからの国民帰還、投資プロジェクトについてでした。

大統領にとって最善のニュースは、国外で何らかの困難に陥っているウクライナ国民を助ける話や、それから、ウクライナに投資を誘致したり、外国市場でのウクライナの企業を支援したりする内容のものです。

その二つのテーマに関係する報告は、大統領はいつも賞賛します。

どのような形でほめられるのですか? 大統領があなたに電話をしたりメッセージを書いたりするのですか?

それは全くもって多様な形で伝えられます。

この100日間、何をしたら良いかわからない困難な状況が起こり、アドバイスが必要になった状況がありましたか? もしあったのであれば、誰に相談しましたか?

大臣になったら、相談のできる人の範囲は最大限狭まります。なぜなら、皆、大臣の決定をこそ待っているのですから。

しかし、機微な問題に関しては、私は、複数回大統領のアドバイスを求めましたし、大きな経験を持つ私の尊敬するウクライナ外交の重鎮とも話をしました。

その中にあなたの前任者たちはいませんでしたか?

いましたよ。前任者の中では、パウロ・クリムキン氏とある問題について話しました。

防疫措置が施行されていることから、あなたと他国外相のやりとりは、主にオンラインで実施されています。しかし、例えば、ドイツのハイコー・マース外相とは、あなたはオンラインでも対面でも協議をしましたね。オンラインとオフラインの協議の間に、何か根本的な違いがありますか?

オフラインで話をすると、一対一でいる間の短い時間、補佐官なしで、何らかの短いやりとりができます。

そのやりとりは何らかの外交上の秘密とは限りません。それは、普通の人と人としてのやりとりであれば十分で、それによって個人的な関係が確立されたり、共感が呼び起こされたりします。

それが唯一の差ですね。

外務省幹部の刷新は、まだ完了していない

あなたは、外務省での仕事を始めた時、省員に対して、省の仕事へのアプローチを変え、彼らにアイデアを出させたいと述べていました。それはうまくいっていますか?

ええ。私は、3月から始まった変化に大変満足しています。私は、スピードとアイデアを出しただけですが、外務省の同僚たちはアイデアを完全に実現してくれています。私は彼らに感謝しています! この速度で前進できているということは、長らく機が熟していたということです。必要だったのは、後押しとアイデアの正しい取りまとめだけだったわけです。

外務省幹部の人事刷新は終わりましたか?

いいえ。これまでに私が主導して、エミネ・ジェパル(ジャパロヴァ)とイェウへニー・イェーニンが外務次官になりました。現在、あと二人の外務次官候補について、大統領の同意を待っているところです。あと、新しい外務事務次官も就任します。

昨日(筆者注:インタビューが行なわれたのは6月12日)、国家捜査局がイェホール・ボジョク次官に対して二つの容疑を伝達しました。あなたは、この状況をどう評価していますか? 外務省ではどのように本件を受け止めましたか?

イェホール・ボジョク氏に容疑が伝達されたエピソードは、彼らの外務省での業務とは関係がないものです。それは重要なことです。外務省では、イェホール氏を経験ある外交官として認識しています。

更に、私たちは、法の支配の原則に従う推定無罪の国に暮らしています。つまり、罪が証明されるまでは、人は有罪ではないのです。

以前は、大使の任命というのは、事実が確定するまで話すものではありませんでしたが、最近は確定前に言及されるようになっています。特に、ヴァディム・プリスタイコ氏が駐英ウクライナ大使になりたがっているという話や、アンドリー・イェルマーク大統領府長官がフメリニツィキー州訪問時に、1週間後に駐仏大使が任命されると発表したこともありました。これらは例外なのか、システム・エラーなのか、それとも新しい実践なのでしょうか?

確かにプリスタイコ氏が副首相職から解任されるよりずっと前から、私は大統領に彼を駐英大使に任命する提案を提出していました。そのため、私たちは社会に対して、彼は去るのではなく、就任に向けて準備をしているのだと説明しました。彼はキャリアと経験のある外交官ですからね。そのため、現在進行形のことについて社会に説明する必要があったため、発表されたわけです。

駐仏大使の交代に関しては、私が覚えている限り、アンドリー・イェルマーク氏は、ビジネス界との会合の際にも、同大使の交代が待たれていると答えていたと思います。

私は、これまで同様全てを必ず秘匿しなければならない、とは考えていません。外交は、以前よりオープンにならなければなりません。政治的決定が採択済みであれば、私たちはそれが実現されるのを知っているのですし、どうしてその決定を社会に報告してはいけないのでしょうか。

「経済外交」は評判の悪い用語だが、私たちはそれを変えていく

あなたは、いつも経済外交の重要性を強調しています。大使たちに向け、その分野の課題を具体的にどのように形成していますか? 大使のための計画を作成しているとの噂も流れていました。大使向け経済KPI(重要業績評価指標)のようなものを運用するつもりですか? でも、大使たちは様々な状況で仕事をしており、彼らに何かができる余地が小さい国もあります。

独立後の30年間、ウクライナの政治辞書では、非常に多くの言葉が評判を落としてきました。例えば、「改善」という言葉もそうです。私たち皆、誰がどの文脈で「改善」という言葉を使っいたか覚えています。

外交で評判を落としたた用語の一つが「経済外交」です。私たちは30年間、経済外交を行っていますが、結果は出ていません!

私は、あなたの述べた理由での大使向けKPIなるものは、重要だとは思っていません。なぜなら、その場合、「国家間の貿易量増加」が一般的な評価指標となるのでしょうが、その増加の内どれだけが大使館の貢献によるものなのかを評価するのは非現実的だからです。

重要なのは全く別のことで、外交官とビジネスマンの話し合いが大切です。ビジネスマンが外交官に対して、ある国で、例えば、E130証明書を獲得しなければならない、と言うとします。その時に、ウクライナの外交が、その国の市場に入り、その証明書を理解することが重要です。例えば、ある国で、投資家がウクライナに投資をしたいと言った時に、外交官にとっては、事前にキーウ(キエフ)にいる誰に電話をすべきかを把握しておき、その電話が無駄にならないようにすることが重要なのです。

つまり、ウクライナ外交官にとっては、ウクライナ企業が外国の市場に進出する際に抱える問題を解決できるようにすること、外国の投資家が外国にいる時点ですでにウクライナ側の重要なコンタクトパーソンとやりとりできるように、ウクライナ政府が行動すること、それにより投資家が満足すること、それらのプロセスを調整することが、最も重要なことなのです。

どうして。今回はそのアイデアの評判は落ちない、失敗しないと思うのですか? おそらく、同じようなことが以前も言われていたはずでは?

全く同じことは言われていません。しかし、私たちが生きている世界は、いかなるものも損なわれる可能性のある世界です。

私は、行動しなければいけないと思っていますし、一緒に行動する人々を信頼しており、その人たちと成功のためにあらゆることをしていきます。私は、将来の人たちのために強力で効果的なシステムを残せると心から信じています。

中国の企業へのモトール・シーチ社株式売却合意は、ウクライナと米国、中国との関係にとって機微なものですが、本件は現在まで宙吊り状態のままです。本件で、パートナーたちの間に、例えば対ウクライナ投資環境などに関して、問題が生じていませんか?

モトール・シーチ社は、投資環境全体にとっての要因とはなりません。なぜなら、同社を巡る状況は非常に限定的で、特殊なものであるため、本件については何らかの一般的結論を出すことができないことは、皆が理解しているからです。

モトール・シーチ社は、大きな外交ゲームの中心に入り込みました。ウクライナにとっての唯一の利益は、ウクライナ企業とウクライナの技術がウクライナにおいて戦略的に発展することです。

本件の決定は、独立禁止委員会が審議していますが、しかし、同時進行で複数のプロセスが進んでいます。例えば、戦略的分野への投資に関する法案作成です。軍事産業複合体への投資に関するものです。

ただし、ウクライナの利益というのは、前述のとおりです。

「ミンスク・プロセス」はいまだ死なず。しかし、ウクライナは同プロセスを人工呼吸器で維持している

前政権は、ドンバス紛争の解決を、ロシアをドンバスから撤退させるべく、ロシアに対する国際圧力強化に賭けていました。新チームは、本件につき、何に賭けていますか?

私たちは、3つのことに集中しています。1つ目は、外交攻勢です。外交攻勢とは、ロシアが何かを提案したり、何かを押し付けようとしたりするのを待つのではなく、私たちが提案し、主導し、ロシアが対応しなければいけなくなるような状況を生み出すことです。

私たちは、パンデミック(感染の世界的流行)の中でも、三者コンタクト・グループ(TCG)会合をオンライン会議の形で実施することを提案しました。パンデミックを利用したプロセス停止を阻止するためです。ロシアは、欧州安保協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)の被占領下ドンバスへのアクセスを妨害することで、プロセス停止を試みましたが、彼らはTCGの協議プロセスの停止はできませんでした。

私たちは、ウクライナ(TCG)代表団のステータスを向上させ、代表団の中に、新しいメンバーを加えるとともに、同様のことをロシアに求め、ロシアに対話と決定の模索への関心を示させようとしています。

私たちは、代表団にドネツィク・ルハンシク両州一部地域の出身者である避難民を代表団に加えました。これにより、作業の新しいスタンダードを作っています。

第二の要素は、国際圧力の強化です。

3月に私の(外相としての)業務が始まってから、私たちは、ドイツとフランスのパートナーたちとともに、大臣級の「ノルマンディ」対話(編集注:独仏宇露4国による協議)を再開しました。そのレベルの対話は、2年間行なわれていませんでした。

更に、大型代表団によるベルリン訪問が実現され、私たちはそこでドイツの国防相と外相、外政担当首相補佐官と協議しました。

今日(6月12日)、今私たちが話している間、ウクライナ代表団はパリに滞在しています。

どうしてあなたはパリに行かなかったのですか?

なぜなら、ジャン=イヴ・ル・ドリアン外相が今日パリにいないからです。もしフランス側の私のカウンターパート(ル・ドリアン外相)の予定が一致していたら、私も訪問する意味があったでしょう。

ところで、その件(編集注:クレーバ外相がパリを訪問しなかったこと)について、またしても「裏切り」だ、などと言われています。しかし、私は最近、「裏切り」があるのではと心配することを止めるべきだという考えに傾いています。私は、そのこと(編集注:国民が政権内人物の行動に国益に逆らうような「隠された目的」を探すこと)をずっと気にしてきましたし、人々の良識を維持するために本を書いたほどです。しかし、誰もが良識を求めているのではなく、陰謀論の中で生きる方が楽しいと思う人もいるようですね。

先ほどの質問に戻ります。

第三の要素は、国際場裏でクリミア問題を著しく活発に推進することです。私たちは現在、クリミアを陰から引き出すべく、とても真剣に仕事をしています。何があってもクリミアを忘れることはならないのです!

あなたは、ドンバスに関して私たちが活発に行動していることが、何かしらの実際的な結果を生み出すと思いますか? なぜならこちらが行動しても、クレムリンは行動していないのです。あるのはヒステリーだけ。外務省は、概してドンバスでのロシアの真の目的をどのように評価していますか?

ロシアの目的を同国公式声明から考えれば、その目的は、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域をウクライナの構成に戻すことです。ただし、ロシアの望む条件で、です。

私たちの目的もまた、これらの地域をウクライナの構成に戻すことですが、ロシアの条件で戻すことは決してありません。そして、その点を巡って、全ての行動が実行されています。

外交には、目的を達成するための3つの基本的手段があります。

1つ目は、自らの議題、自らのアイデアを推し進め、相手に反応させながら、活発に何かを行なっていく、というものです。

2つ目は、何もしないことです。その際、物事は、当然ながら自動的に朽ちていくか、あるいはパートナーがあなたを行動させようとします。

3つ目は、何かをしているようなふりをしながら、実際には何もしないことです。

私は、過去には深く立ち入りたくありませんが、しかし、現在、私たちは、原則的に1つ目の手段を利用しています。活発な外交攻勢、アイデア、イニシアティブ、提案、です。

私たちは、そのような手段によってのみ、ロシアに建設的な行動をさせられる状況を作れるのだと考えています。なぜなら、ロシアは孤立しているわけではないですし、ロシアが「ウクライナこそが非建設的で、情勢解決を望んでおらず、ミンスク(諸合意)に違反している」と主張しても、私たちが行動していたら、その主張は愚かしく見えてくるからです。

私たちのパートナーは皆、私たちが本当にイニシアティブを出し、建設的に行動しており、決定を模索していることを見ており、認めています。そして、それにより、ロシアによる「悪いのはウクライナ」という主張が崩れていっているのです。

つまり、「ミンスク」(編集注:ミンスク・プロセス)はまだ死んでいないということですか?

言うなれば、「ミンスク」はいまだ死なず、しかしウクライナは独仏の人工呼吸器でミンスクを維持しています。すみません、ブラックジョークですね。

ドンバス地方で配布されるロシアの国籍証明書は、法的意味を持たないもの

あなたは、ベルリンにて、ノルマンディ4国外相級会合が近々開催されると発表しましたが、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、それに全く反応していません。同会合は開催されますか?

私たちは、日程を模索していますし、それは見つけられると確信しています。私は、セルゲイ・ラヴロフ氏との対話にオープンです。もしそれが私たちの抱える問題を解決することに繋がり、ウクライナ領の脱占領化、ウクライナ人被拘束者の解放を促すのなら、私はどのようなフォーマットの連携も行なう準備があります。

一方でロシアは、被占領下ドンバスにて違法な身分証明書配布を続けており、年内にはドンバスのウクライナ人に60~80万のロシア国籍証明書を配布できると述べています。あなたは、このドンバスにおけるロシアの身分証明書問題について、仮にそこで地方選挙が行なわれたとして、その後、どのように解決できると考えていますか?

ドネツィク・ルハンシク両州一部地域におけるロシア国籍身分証明書は、法的には無意味なものです。その身分証明書を発行することで、ロシアは国際法に著しく違反しています。そのため、私たちにとっては、それは一切の重みを持ちません。

同時に、被占領地にてロシア国籍証明書を手にする人々に対して、私たちの示す評価に対しては、深く考えて接するように呼びかけています。

中には、どこまでもロシア支持で、イデオロジー的見地から露国籍を受け取る人もいるでしょう。また、中には、渡航、越境、支払い受け取りといった、生活面の利便性から国籍を受け取る人もいるでしょう。そのような人は、ウクライナに対しては中立的に向き合っており、帰還を望んでいる可能性があります。

また中には、安全面を考えた上で、ロシア国籍を手にする人もいるでしょう。ロシア国籍を獲得しなければ、明日にはブラックリストに載せられてしまうかもしれない、と考えて。

そのため、「そこにいる人は皆同じ」かのように考えて、十把一絡げにするようなことはしないで欲しいのです。

重要なのは全く別のことです。法の観点からは、それら証明書は一切無意味な紙切れであり、その配布は止められなければなりません。国際社会やパートナー国がその国籍を認めないよう、私たちが一緒にロシアに対してその配布を止めるべく圧力をかけるよう、私たちは仕事をしています。

あなたは、今年の秋、ドンバス被占領地にて地方選挙が実施されると予想していますか?

それは、ミンスク・プロセスの展開次第です。しかし、銃口を向けられる中での選挙は決して実施されません!

予想してみましょう。仮に、ロシアが選挙投票日の60日前までに自国軍を被占領下ドンバスから撤退させたとします。しかし、ロシアの占領が6年間続いたことを考えると、その選挙に意味はあるのでしょうか? なぜなら、(60日間では)私たちには市民の考えを形成することも、人々に自身の立場を説明することも間に合わないのです。

ウクライナのメディア空間を見てごらんなさい。そこで、市民の考えを何らかの方向に持っていけると思いますか?

彼ら(被占領地在住の人々)はウクライナ国民です。そこはウクライナの地です。私たちは、唯一の合法的政権です。だから、これらの領土は私たちのコントロール下に戻るのであり、私たちは全ての政権機構を回復するのです。それは、選挙権も被選挙権もです。もちろん、軍事犯罪者たちは皆、新たな現実では自己実現の権利を得られません。

しかし、「いつか」「何かの後で」といった具合に、常に延期する形でアプローチしていけば、私たちはどこにも辿りつくことはできないだろうと思います。というのも、情報戦とは、果てしない長いプロセスであり、私たちは今後非常に長い年月、人々の考えを巡って闘っていくことになるからです。

人の考えを巡る闘いは、領土を巡る闘いよりも、はるかに長いものです。

あなたはベルリンにて、ウクライナはドンバス問題にて、ドネツィク・ルハンシク両州一部地域にウクライナの地政学的ベクトルへの拒否権を与える以外なら、広範な妥協の用意があると述べました。

いいえ、国全体の決定への拒否権については話していません。

私たちは、すばらしい非中央集権化改革を行なっています。非常に欧州的で、非常に深遠で、領域自治体に広範な権限を与え、権力を地元に戻す内容です。この非中央集権化改革の範囲内で、すでに2014年にドネツィクとルハンシクが持っていた(権利)よりも多くのものが実現されています。加えて、「(両州一部地域の)地方自治の特別性」法があり、同法にて長らく戦争の続いている地域の特殊性を考慮した何らかの追加的要素が施行される可能性もあります。

しかし、私は、これらの地域の市民は、たとえ特別地位がなくても、現在のロシア連邦の占領下より、ウクライナの構成の中の方が、権利とリソースを1000倍多く得られることを、私は100%保証できます。

ロシアの話題はこの質問で最後にします。被占領下クリミア問題についても触れたいです。クリミアの元検察官であったナタリヤ・ポクロンシカが6月はじめにミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官に書簡を送り、ロシアの占領するクリミアにて、ウクライナが人道・環境災害を作り出しているとして、断罪しました。この書簡は、ウクライナにとって何らかの悪影響を生み出す可能性がありますか?

ありません。

しかし、国際機関は、人道問題には非常に敏感でしょう!

国際機関には、非常に優秀な国際法の専門家が働いています。彼らは皆、占領地における状況の全責任は占領国のみが負う、ということを主の祈りのごとく知っています。

つまり、ポクロンシカ氏はPRをしているだけです。宣伝の権利は彼女にもあります。しかし、その呼びかけは、国際的な意味を有しません。

最近の世論調査では、ウクライナのEU加盟支持が46%まで下がりました。昨年12月はこの支持は64%でした。NATO加盟支持は、51%だったのが約42%になりました。同時に、反西欧的、特に反米的レトリックが増えていますが、政権はほとんど対応していません。パートナー国は、どのようにこれを受け止めていますか?

私は、ウクライナのメディア空間に反西欧的レトリックが広まっていることを懸念しています。それはウクライナ国民の利益に全く合致しないものです。

しかし、政権機関や、外政を担う機関においては、反西欧的レトリックは一切ありません。私たちは、ウクライナは今後もEUとNATOへの加盟に向かって進んでいくべきであると確信していますし、私は、方針転換へのほのめかしは一切目にしていません。

どのようなレトリックかは知りませんが、起きている事を見てみましょう。私たちが話し合っているこの瞬間、NATOはウクライナへの高次機会パートナー(EOP)地位付与を承認しています。(注:時計を見ながら)ちょうど今、サイレントプロシージャー(編集注:文書採択手続の一種)が行なわれているところです。14分間、NATO加盟国のうちどの国もサイレントプロシージャーを止めなければ、私たちはEOP地位を獲得します。それはウクライナとNATOの相互互換性を高める重要な一歩であり、それに向けて多くの人が長い年月仕事をしてきたのです。私たちは、長年様々なところから「そんなことは実現できない」と言われてきました。しかし、私たちは今、世界でNATOに最も近いパートナー6国のリストに入るまで、後一歩のところまで来ているのです。私は、もう実質的にそのようなパートナー国になっていると確信していますが、しかし、あと数分でNATOがそれを確定することになります(編集注:6月12日、NATOは、ウクライナをEOPに認定したことを発表している)。

イランで撃墜されたウクライナ機の「ブラックボックス」を巡り、多くのゲームが生じている

イランは最近、ウクライナ国際航空旅客機撃墜事件の協議のために、いつでもウクライナを訪問する準備があると発表しました。協議の日程はもう決まっていますか?

私は、難しい協議相手としてイランに敬意を持って接しています。航空機撃墜問題は、遺族の感情に関わるものであり、極めて機微なものです。そのため、私たちは、最大限正しく行動しようと努めていますし、イラン側パートナーに対しても同様に行動することを呼びかけています。

ウクライナにとって、原則的なことは次の3点です。1つ目は、全ての情報の包括的分析をもとに起きたことの客観的原因を解明すること。そのためには、私たちには(飛行状況が記録されている)「ブラックボックス」が必要です。その解析なしに、完全な事件状況の解明が完全に合法的になることはありません。

2つ目は、遺族への補償です。それも様々な問題を含むものです。

3つ目は、罪人を罰することです。

この3つの目的が、私たちが追求しており、イラン側と話し合っていることです。

いつ誰が誰のもとを訪れるかという話についてですが…。3月に私が外相に就いた時点で、イランは近く会談する準備があると述べていました。しかし、それは良しとしましょう。私たちは、イランによる会談準備があるとの声明から、それが実際に実現されるまでの期間が、最大限短縮されることを期待しています。

ブラックボックスについては、その周りには多くのゲームが生じています。しかし、最終的には全てのことが全てのルールが守られた上で国際的手続きの中で収まると確信しています。

私たちにとって決定的に重要なことは、そのプロセスが完全に合法的に行なわれることです。

ブラックボックスの解析には、特別な機材が必要であり、現時点でウクライナにはその機材はありません。ウクライナは、数か月前の時点ですでにフランスとの間で、ブラックボックスを同国で解析することに同意しています。

国際民間航空機関(ICAO)理事会の会合の際、イラン代表者は、確かにブラックボックスを解析のためにフランスに渡す準備があると述べています。私たちは、それが空虚な言葉でないことを期待しています。しかし、フランスに送られる前に、私たちはそれをウクライナで目にしなければなりません。

最後の質問です。夏について話しましょう。現在、国境が開き始めており、複数の国との間の航空便が徐々に再開されています。同時に、あなたはウクライナ国民に対して今年の夏は国外で休暇を過ごすことを薦めていません。ドイツ外務省は、より断固としており、ドイツ国民が国外での休暇中にコロナウイルスに感染したとしても、ドイツ政府が彼らを避難させることはないと発言しました。類似の状況になった場合のウクライナ外務省の政策はどのようなものとなりますか?

外務省の課題は、いつでも、国民の移動の自由の促進と彼らの国外での権利保護という、二つの点にあります。

そのため、外務省は、どこかへ行きたがるウクライナ国民が進む道の前に立ちはだかることは一切ありません。しかし、私ができることは、彼らに対して、現時点での国外渡航は、危険に身をさらすことだと喚起することです。

ですから、旅行したいなら旅行してください。しかし、世界がまだ危険だということを忘れないでください!

ナジーヤ・ユルチェンコ、キーウ

写真:ヘンナジー・ミンチェンコ

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