被占領下ドンバス向けテレビ試験放送開始 娯楽番組中心 名前は「家」局
2日、ウクルインフォルムにて、政権関係者による被占領地向けテレビ放送のコンセプトを発表するプレゼンテーションが行なわれた。
家局の基盤となるUATV局の総裁代行を務めるユリヤ・オストロウシカ氏は、家局は、被占領地に向けた放送を3月1日から試験的に行なっていると伝えた。
オストロウシカ氏は、「新しいテレビ局『家(Дім/ジム)』のプレゼンテーションへようこそ。同局は、3月1日からすでに試験放送を行なっている」と発言した。
同氏は、複数の世論調査の結果、被占領地では、約54%の住民がウクライナのテレビ局へのアクセスを有しておらず、43%がウクライナのインターネットサイトでのテレビ放送へアクセスしていると述べ、「そのため、過去6年間のロシアの支配により、(被占領地で)視聴率上の上位に来ているのは、ロシア1局(国営)、露NTV局、ロシア24局(国営)、露チャンネル1局である。5番目にようやくウクライナのテレビ局の名前が来るのだ」と説明した。
同氏は、新しいテレビ局では視聴者はウクライナに関する真実を聞くことができるとし、ウクライナが皆にとっての共通の「家」であることを伝えるものになると説明した。
大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官は、同記者会見時に、家局では娯楽番組を中心に放送すると発言した。
ティモシェンコ氏は、「ニュース・コンテンツで視聴者の心に訴えるのは無理だ。そのため、私たちは、ウクライナのテレビ市場の全ての大型企業と協議を行い、これら企業が私たちと協力していくことで合意した。彼らは、被占領地に向けてシグナルを送っていく。それは、ドラマ、トークショー、娯楽ショー、サッカーの試合、様々なスポーツの生放送となる」と発言した。
また、同氏は、近い将来、家局はニュース発信も始め、その後は更に、朝の番組、独自トークショーなどの別の番組の開始の計画もあると伝えた。
最高会議の人文・情報政策委員会のミキータ・ポトゥライェウ副委員長(人民奉仕者党)は、同局は、ドンバス被占領地全域に向けて放送するが、クリミアに向けては技術的困難があると伝えた。
ポトゥライェウ氏は、「私たちは、電子戦システムが私たちに対して使用される可能性を排除しないが、今のところロシアは使っていない。私たちは、電子戦が展開されるケースに対しても準備ができている」と発言した。
同氏はまた、家局は、ウクライナ情勢の情報を客観的に伝えていくと述べ、「もちろん、この局では、誰も『義勇兵』だとか、『内戦』だとかは述べたりしない。コンタクト・ラインを『愛のライン』だとか、ロシアの戦車をロシアから我々の下に愛を運んできた『ピンクのユニコーン』だと呼ぶこともない」と発言した。
なお、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領は、2019年春の大統領選挙の際、「強力なロシア語チャンネルの設立と、真剣な情報戦の開始」が不可欠であると述べていた。その後、キリロ・ティモシェンコ大統領府副長官は、国営チャンネルの設立につき、「ロシア語世界全体に向けて発信するもの」となるとの考えを示していた。
2020年1月12日、国営外国語放送局UATVは、被占領地向け放送への事業再編に向け、生放送でのコンテンツ提供を終了していた。