ノルマンディ4国首脳会談:世界のメディアの見方

ノルマンディ4国首脳会談:世界のメディアの見方

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英フィナンシャルタイムス紙は、12月9日のパリにおけるノルマンディ4国(独仏宇露)首脳会談にて、ウクライナとロシア連邦はドンバス地方の武力対立における緊張緩和にて一定の進展を得たが、しかし、双方が紛争解決に向けた共同の決定に至るにはまだ距離が大きいとの見方を示した。

10日、フィナンシャルタイムス紙が関連記事を掲載した

同紙は、「ロシアとウクライナは、ウクライナ東部のモスクワが支援する分離主義者とキーウ政府との間の戦争における再度の停戦につき合意した。同時に、マクロン仏大統領が『欧州大陸の中心の開けた傷』と形容した紛争の解決等に関しては、両国は大きく離れたままである」と指摘した。

同紙は、今回の首脳会談での合意項目を挙げつつ、同時に政治項目に関して深刻な見解相違が残っているとし、「プーチン氏とゼレンシキー氏は、長期的政治解決に関しては完全に見解を異にした」と指摘した。その例として、ウクライナ側は、ドンバス地方選挙の前の国境の完全なコントロールと全ての外国軍の撤退を要求したが、ロシア側は、ミンスク諸合意における関連項目を認めるよう主張したことが挙げられている。

同時に、同紙は、ウクライナ国内のゼレンシキー大統領を批判する人物は、大統領が「あまりにロシア寄り」だと指摘していたが、今回、大統領は強固なウクライナの立場を防衛し、更には、「それ以上のことの達成を望んでいた」と指摘した。

米ニュースサイト「ブルームバーグ」は、10日付記事にて、今回のノルマンディ首脳会談につき、ゼレンシキー大統領とプーチン露大統領がドンバスの暴力停止プロセスに「新たな命を吹き込んだ」と形容した。

同記事には、「プーチン露大統領とゼレンシキー宇大統領は、新たな人質交換と複数地点での軍の撤退に合意することで、ウクライナ東部の暴力停止を目的とする努力に新たな命を吹き込んだ」と書かれている。

同時に、同記事には、「マクロン氏にとっては、進展の徴候とプロセスに関わる人々からの肯定的な感想が生じていることは、同氏が進める欧州とロシアの関係正常化の努力に重みを与えている」との見方が示されている。

オーストリアのDiePresse紙は、ノルマンディ4国首脳会談にプーチン露大統領が参加したことは、同大統領にウクライナ東部紛争解決の協議に参加する準備があることを示す機会を与えたが、しかし、ロシアの目的は、引き続きドンバス地方の影響を維持することにあると指摘した。

同紙記者のユッタ・ゾメルバウエル氏は、「プーチン氏にとって、ノルマンディ首脳会談への参加は、紛争解決のための対話に参加する準備があることを示す機会であった」と指摘した。

同氏はまた、パリ会談の議の中心はミンスク諸合意の履行であったとし、同諸合意には停戦、捕虜交換の他、「親露武装集団が支配する」地域での地方選挙のような政治項目もあることを喚起した上で、「現在まで、どのような条件でそれ(地方選挙)を実施するのかにつき、統一見解はない。簡潔に言えば、その選挙の実施方法が、ドンバスの将来の秩序を定めるのだ」と指摘した。

同時に、同記者は、ロシアとウクライナのミンスク諸合意への見方は、「彼らが求める目的と同じく」異なっていると説明した。

同記者は、「モスクワは、紛争圏の自らの影響を維持したがっているが、キーウ(キエフ)は自国領のコントロールを回復したがっている。そして、紛争は、長引けば長引くほど、その解決がより困難となっていく。なぜなら、現場では、分離主義者とクレムリンが新しい現実を作り上げているのであり、例えば、分離主義地域の約250万人お住民に対してロシアの身分証明書がばらまかれているのだ。ロシアは、似たような行動を『凍結された紛争地域』である、アブハジア、南オセチア、トランスニストリアでも行ってきた」と指摘している。

同記者はまた、ロシアが隣国に対してとっている「力にもとづく立場からの政治的アプローチ」は、マクロン仏大統領が進めようとしている「欧州全体の和解」を阻害していると明言する。その上で、同記者は、マクロン仏大統領がプーチン露大統領へ接近したがっていることは、プーチン氏の立場を強めるだけだとも指摘した。

同記者は、ノルマンディ首脳会談にて達成された合意を揚げつつ、同時に、「(会談が開催された)エリゼ宮殿には慎重な楽観主義的空気が広まっていたが、しかし、全ての方策が実現されるか否かについては、不明だ」と指摘している。

加えて、同記者は、ドンバス地方選挙に関しては、「妥協は一切達成されなかった」と述べ、「ウクライナは、分離主義地域での地方選挙実施に向けて、治安上の保証を主張した。4か月後、このテーマは改めて議論対象となる」と説明した。

ポーランドのニュースサイト「Onet.pl」は、今回のノルマンディ首脳会談は戦争を終結させることはなかったが、そもそもそのようなことは誰も期待していなかったと指摘した。同サイトは、同時に、合意された「完全な停戦」は、またもや空虚な宣言に終わるのではないか、との疑問が生じると述べ、そもそも停戦は、2014年のと2015年のミンスク諸合意における、一番最初の項目であるが、それは紙に書かれているだけで履行されてこなかったことを喚起した。

同サイトは、「全員対全員」の被拘束者交換は間違いなく肯定的な結果だが、問題は「全員」のリスト作成に問題が生じ得ると指摘し、ウクライナ側は政治囚も被拘束者とみなしており、ロシアや被占領下クリミアにて多く逮捕されているクリミア・タタール人の地位問題が生じるとし、ウクライナ側は彼らをウクライナ国民とみなしているが、ロシアはロシア国民としていることが喚起された。

また、同サイトは、ゼレンシキー大統領が、今回の首脳会談で越えてはならない「レッドライン」を越えることはなかったと指摘した。その際、大統領府前に集まった人々の恐怖は「無根拠」であったとし、その理由として、ゼレンシキー氏は、ロシアが提示する条件で戦争を終わらせても、それはウクライナ国内の激しい対立をもたらすことを、よく理解しているからだと指摘した。

なお、12月9日、パリにて、ノルマンディ4国(独仏宇露)の首脳会談が約3年ぶりに開催された。その際、4首脳は、成果文書を採択している


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