ゼレンシキー大統領、マース独外相と会談 ドンバス情勢と独露間新ガス・パイプラインを協議
19日、大統領府広報室が公表した。
発表には、「大統領は、独外相に、ドンバス地方の治安情勢につき報告し、また12月9日に予定されている(編集注:独仏宇露4国の)『ノルマンディ・フォーマット』会談が平和的紛争解決の道を開くことへの期待を表明した」と書かれている。
その他、両者は、ウクライナ・ドイツ間関係の現状と発展の展望について協議したとのこと。
また、ゼレンシキー大統領から、ドイツによるウクライナの領土一体性と主権への一環した支持、構造改革への包括的支援、戦争で破壊されたドネツィク州インフラの復興イニシアティブの促進につき謝意を伝えたとある。
発表には、両者は、ドイツ議会が欧州連合(EU)の通称「ガス指令」履行の法律を採択したこを巡る状況についても協議されたと書かれており、その際、マース外相から、ドイツ国内法の改正はこのEU指令に合致した内容であることが明言されたとのこと。
また、ウクライナの欧州・欧州大西洋統合路線の実現の文脈での両者の協力についても話が及んだと書かれている。
なお、これに先立ち、11月13日、ドイツ議会は、独露間新ガス・パイプライン「ノルド・ストリーム2」の活動を規定する天然ガス国内市場の一般ルールに関するEU指令第2019/692の履行に関するエネルギー産業法への改正法案を採択している。
「ノルド・ストリーム2」建設プロジェクトとは、ロシア海岸からバルト海を通じてドイツまで通じる新しいガスパイプライン建設のことである。同パイプラインは、年間550億立方メートルのガスが輸送できるようになることが想定されており、ライン全長は1200キロメートル以上。
このパイプラインは、ロシアのガスプロム社が、欧州のEngie、Uniper、OMV、Shell、Wintershallといった企業と共同で建設している。建設開始時の予定では、完工は2019年末とされていた。
ウクライナは、ノルド・ストリーム2が完成することで、ロシアから欧州へとガス供給を行う際の「輸送国」としての役割を失うことから、このプロジェクトに反対してきた。その他、米国、ポーランド、バルト諸国も反対している。これらの国々は、欧州がロシアのガスへの依存を高めると警告している。
写真:大統領府広報室