独議会、独露間新ガスパイプラインをEU指令対象外とする法案に投票せず

独議会、独露間新ガスパイプラインをEU指令対象外とする法案に投票せず

ウクルインフォルム
8日未明、ドイツ連邦議会は、連邦政府の提出した、独露間新ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」を欧州連合(EU)指令の対象外とする法案の投票が予定されていたが、出席議員数が足りず投票にかけられなかった。

ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

議会に出席したのは133名。投票を行うには、355票が必要であった。また、独議会議長は、8日午前9時に本会議が開催されると伝えた。

議会では、7名の議員が立場表明を行った。その内3名がウクライナについて言及した。

社会民主党の議員は、ウクライナとロシアの間のウクライナ領を通じた欧州へのガス輸送の新契約がドイツには必要であると指摘した。同時に、同党議員は、ノルド・ストリーム2プロジェクトを擁護し、ウクライナも東ヨーロッパも同プロジェクトから利益が得られると主張した。また、同議員は、エネルギー外交は1970、80年代にも対ソ連の文脈で取られてきたとし、そのような外交は当時からロシアとの複雑な問題を解決する手段であったと指摘、「このようなガスパイプラインは、重要な橋となり得る。ロシアが中国の方を向くよりは、ロシアのガスを得た方が良い」と発言した。

緑の党議員は、批判的な見解を提示した。同党議員は、ウクライナの情勢不安定化を望まないとし、現在その他の政党が採ろうとしている行動はウクライナ領を通じたガス輸送継続を保証するものではないとし、他党の意向を強く批判した。同党議員は、ガスパイプラインの運用は、EU法にのっとって行われねばならないと主張した。

AfDの議員は、短く「ドイツは安定したウクライナに関心がある」と発表した。

与党キリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)の議員2名は、共にノルド・ストリーム2を擁護した。両議院は、ドイツにはガスが必要であるが、輸入元の更なる多元化が必要だと主張した。

また、ほぼ全ての議員が、トランプ米大統領による欧州への圧力の試みに対する批判を表明した。同時に、今回の議題を提案したAfDに対する批判も強かった。

なお、これに先立ち、ウクライナのオレクシー・ホンチャルーク首相は、ドイツに対して、ノルド・ストリーム2をEUのガス関連指令の対象外とする同法案を支持しないよう呼びかけていた。7日、政府ポータルサイトが伝えた

ホンチャルーク首相は、「独議会にて、深夜、ドイツの規制機関に『2019年5月23日までに実施された』投資プロジェクトをEU指令から回避することを可能とする修正法案が投票にかけられる」と述べた。

同首相は、同イニシアティブは、EUのエネルギー安全保障と団結に深刻なダメージをもたらすものだと指摘した。

首相は、現在同指令はEU加盟国にとって強制力を持つものであるが、独議会が同修正法案を採択した場合、EUの全加盟国が採択した決定に違反することを意味すると指摘していた。

その上で、首相は、ウクライナがドイツのサポートを評価しているとしつつ、今回の投票は欧州の安全保障全体に関わるものであり、ドイツが連帯を示すことを期待していると述べていた。


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