マレーシア航空機MH17撃墜テーマの新たなロシア発プロパガンダ映画

マレーシア航空機MH17撃墜テーマの新たなロシア発プロパガンダ映画

ウクルインフォルム
マレーシア航空機MH17撃墜事件を扱った、ロシア発の新たなプロパガンダ映画が、10月23日、オランダで上映される。

「正義の探求 ( The quest for Justice)」と題されたこの新しい「映画」の上映は、ハーグで行われる。28分の長さの動画は、既にオンライン上で視聴可能となっている。

主要な登場人物は、まず通称「フムーリー」こと、セルゲイ・ドゥビンスキー(ロシア国民)。同氏は、本年6月19日、MH17事件捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)により、正式に撃墜に関与した容疑者として発表された4人のうちの1人である。次に、マレーシアのマハティール・モハマド首相。同首相は、公式の捜査結果を認めず、ロシアの同事件関与を信じていない人物だ。それから、マレーシアのモハマド・サクリ大佐。彼は、MH17撃墜直後に、「ブラックボックス」がウクライナとアメリカの手に渡らないよう、ウクライナ東部の武装集団「DPR」支配地域を秘密裏に訪れたと述べる人物である。

プレゼンテーションは、「民間人のグローバルな権利」という団体が行う。本年8月17日には、クアラルンプールにて、「MH17: The quest for Justice」と題された類似の会議が開かれ、その際、MH17の「別の捜査」なるものが紹介されている。

「フムーリー」の電話

「映画」の制作者である、ロシアのジャーナリスト、ヤナ・エルラショヴァ氏と、オランダのブロガー、マクス・ヴァン・デル・ヴェルフ氏は、自分たちを「独立した調査報道記者」だと呼んでいる。この28分の「映画」の制作資金は、サイト「Kickstarter」(クラウドファンディングで制作資金を集めるサービス)にて集めたと述べるが、しかしながら、エルラショヴァ氏はこの資金集めを始めた段階では、ロシアのテレビ「RT」(ロシアの今日)の記者であった。エルラショヴァ氏は、これまでに二つのドキュメンタリー映画を作ったと述べており、どちらもMH17の撃墜はウクライナ軍のSu-25が撃ち落したことを示す内容のものだという。同氏は、空飛ぶ戦車Su-25がMH17をどうにかして奇跡的に撃墜したという、不可能の証明を試みてきた人物なのだ。2つの映画の課題は、どんな手段を使ってでも、国際共同捜査チーム(JIT)の公式の捜査結果に対して、疑念を持たせようというものである。

オランダのマックス・ヴァン・デル・ヴェルフ氏もまた、ロシアの地対空ミサイルシステム「ブーク」がMH17を撃墜したということを認めない人物である。彼は、武装集団のメディアのインタビューを繰り返し受けており、独自の「事件経緯」について話してきた人物である。この人物は、2014年7月17日に298名が亡くなった現場にいとも簡単に何度も足を運ぶことができている。

そして、武装集団構成員たちは、彼らとは喜んで話をする。エルラショヴァ氏の今回の3つ目の「映画」でも、通称「フムーリー」と呼ばれる、MH17事件の容疑者の一人のロシア国民、セルゲイ・ドゥビンスキー氏が電話会話に出てくる。2014年、ドゥビンスキー氏は、もう一人のMH17容疑者、「DPR国防大臣」を名乗っていたイーゴリ・ギルキン(通称ストレルコフ、ロシア国民)の部下だった人物である。ドゥビンスキー氏は、「ブーク」の移動への関与が疑われている。ウクライナ保安庁(SBU)が、二人の容疑者(ドゥビンスキー氏とギルキン氏)の電話会話を傍受したものを公開している。「映画」では、エルラショヴァ氏が、このドゥビンスキー氏に電話をかけ、2014年の通信傍受記録について尋ね始める。

エルラショヴァ「SBUが公開した記録について、彼らは7月17日の会話だというけれど、それは本当?」

ドゥビンスキー「少なくとも、ボツマン氏との会話、そこで私がSu-25を撃墜したと述べているもの、私はステパニウカにいる、と言っているものは、16日以前のものだ。17日の朝、私はドネツィク市にいた。」

エルラショヴァ「どうしたらそれを確認できる?」

ドゥビンスキー「もちろん、偉大なウクライナのSBUならそれを確認できる。やつらのところには、私の通話の請求がある。」

エルラショヴァ「つまり、彼らが傍受した通話の中の、声はあなたのもの。それで正しい?」

ドゥビンスキー「ああ、私の声だ。」

エルラショヴァ「声はあなたのもの。でも、通話はその日ではない。他には?」

ドゥビンスキー「やつらは全部改ざんしているよ」

撮影は、マレーシアで行われている。ドゥビンスキー氏との会話が終わると、エルラショヴァ氏は、マレーシアの専門家の元へ向かう。そこで、専門家たちは、当然かのように、SBUの公開した通話記録は「繋ぎ替えられている」と言うのだ。

「映画」の中で、アカシュ・ロゼンというOG IT Forensic Service社の専門家を名乗る人物は、「私は、複数のノイズの間のギャップを見つけた。記録は全体的に作り変えられている」と述べる。

バランスを取るためか、オランダの専門家なる人物も出てきて見解を述べる。ノルマン・リッテルという人物は、「私は、9つの操作部分を見つけた。つまり、たくさん編集されているということだ」と発言する。

ドゥビンスキー氏は、エルラショヴァ氏との会話の中で、「事件には関与していない」と言い、MH17の撃墜はアレクサンドル・ボロダイ自称「DPR首相」(ロシア国民)から知ったと述べる。同氏はまた、事件現場から彼のもとに「ブラックボックス」が届けられ、彼がボロダイ「首相」に渡したと言う。

「ブラックボックス」を求めて

マレーシアは、「ブラックボックス」を手に入れるために、自国の代表者を秘密裏にいわゆる「DPR」の支配地域に派遣していた。その一人がマレーシアのモハマド・サクリ大佐である。2014年7月22日、サクリ大佐は「DPR」で歓迎を受け、カメラの前で、ドネツィク市のアレクサンドル・ボロダイ「DPR首相」からMH17のブラックボックスを受け取る。このサクリ大佐も、「映画」に登場し、その日のことを述べる。

「映画」の中で、サクリ大佐は、「それは、ボロダイ氏からマレーシアへの善意だった。彼らは一切条件をつけず、ただブラックボックスを入手させてくれたのだ」と言う。

大佐はまた、欧州安保協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)がブラックボックスを彼らに渡すように依頼したと言う。大佐がその要請を拒否すると、今度はアメリカのFBI代表者がブラックボックスを求めてきたと述べる。

サクリ大佐は、「映画」にて、自身の11名のチームがウクライナ東部「DPR」支配地域でうまく作戦を実行し、最初にMH17のブラックボックスを手に入れたことを、誇らしそうに語る。

しかし、実際には、彼らは、ウクライナ政府の許可がなければ、そのようなことをする権利は有していないのだ。彼らは、その行動により、ウクライナの主権を直接侵害し、国際法に違反したことになる。

マレーシアのチームは、当時のナジブ・ラザク首相の直接の指示を受けて訪れている。ラザク元首相は昨年汚職で逮捕されている。国庫からの何十億ドルもの消失、資金洗浄、職権乱用の罪だという。

MH17事件捜査におけるマレーシアの役割

国際共同捜査チーム(JIT)へは、5つの国が入っている。ウクライナ、オランダ、オーストラリア、ベルギー、そして、マレーシアだ。MH17撃墜の容疑者の名前が公開されると、マレーシアのマハティール首相は、オランダが率いた事件捜査の客観性に疑問があるとし、ロシアが同事件に責任を負うということに関して、説得力ある証拠はないと発言し、関係者を驚かせた。

そして、当然のごとく、マハティール首相は、その「映画」の中でも、ロシアのエルラショヴァ記者を前に、同じことを述べている。

マハティール首相は、「彼らは、罪はロシアにあると、事前に決めてかかったのだ。私たちは、そのような立場は受け入れることができない」と発言している。

オランダでは、ブロガーのマックス・ヴァン・デル・ヴェルフ氏が、JIT団長のフレッド・ヴェステルベケ氏のインタビューを得ようとするが、拒否される。

エルラショヴァ氏は、マレーシアはJIT設置直後にはJITに参加できなかったと述べる。

続けて、マハティール首相は、怒りを示しながら、「参加できなかったことは不当だ」と糾弾し、「(撃墜された)飛行機はマレーシアのものであり、マレーシア国民も乗っていて、彼らも亡くなったのだ。マレーシアも捜査に最初から加わる国でなければならなかった」と強調する。

確かに、マレーシア国民44名がMH17撃墜事件で亡くなっている。さらに飛行機も確かにマレーシアのものだ。そのため、マレーシアをJITに加えないというのは、おかしなことだし、捜査の客観性に疑問を生じさせ得るものだ。しかし、実際には、誰もマレーシアを無視などしていなかったのである。JITは、2014年8月7日に設置され、ウクライナ、オランダ、ベルギー、オーストラリアの代表者が入った。マレーシア代表者が加わったのは、2014年12月4日のことだが、それは、マレーシア自身が参加希望を表明しなかったからである。JIT参加の招待は、同事件で自国民を失った全ての国に送られていたにもかかわらずである。後になってから、マレーシアは、既に設置されていたJITへの参加を決定する。ブラックボックスもJITに渡され、専門家たちに分析されている。

マレーシア首相はあのように発言しているが、JITが発表した結論は、捜査に参加している全ての当事者により支持され、認められている。その中には、マレーシア代表者も含まれているのだ。

そして、JITの結論は、MH17被害者遺族にも認められている。そのため、遺族は、マハティール・マレーシア首相による、ロシアの事件への責任を疑う度重なる発言に怒りを表明している。

遺族たちは、今回の「正義の探求」という名の「映画」を大きな攻撃だと受け止めている。自らの近しい人々を亡くした遺族は、同「映画」を事実に反するものだと呼び、上映会には行くつもりはないと述べている。

イリーナ・ドラボク、ハーグ


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