トランプ米大統領、バイデン氏息子捜査をゼレンシキー大統領に要請か＝米報道

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が状況に詳しい関係者の発言をもとに伝えた。

報道では、「トランプ大統領は、７月の電話会談の際に、ウクライナ大統領に民主党の大統領選候補のバイデン氏の息子の捜査を始めるよう、繰り返し圧力をかけた。その際、少なくとも８回、ゼレンシキー大統領に対して、自身の顧問弁護士であるルディ・ジュリアーニ氏に協力するよう呼びかけた」と書かれている。

また、トランプ大統領の要請内容について説明する関係者の一人の「彼（編集注：トランプ大統領）は、彼（編集注：ゼレンシキー大統領）に対し、バイデン氏につきジュリアーニと協力すべきだと、またワシントンの人たちはその考え（前大統領の息子の件）が正しいのかどうか知りたがっていると発言した」との発言が掲載されている。

同時に、関係者の発言では、その電話会談の際は、米国のウクライナへの防衛分野支援については、提起されなかったとのこと。その支援については、電話会談後に供与の決定が一度止められたが、米国議会からの圧力によりプロセスが再開され決定が下された、と書かれている。

なお、トランプ大統領は、本件が報じられる前に、繰り返し自身が「ある外国首脳と不適切な何かを話した」ということを否定する発言を繰り返していた。

....Knowing all of this, is anybody dumb enough to believe that I would say something inappropriate with a foreign leader while on such a potentially “heavily populated” call. I would only do what is right anyway, and only do good for the USA!

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) September 19, 2019

加えて、２０日、トランプ大統領は、ホワイトハウスの記者会見時に、自身はゼレンシキー大統領との間でバイデン氏に関することは協議したことがないと発言していた。

なお、１９日、下院情報委員会では、トランプ氏からゼレンシキー氏へのこの圧力の可能性に関して非公開証言を行っている。結果は公開されていないが、この証言は、インテリジェンス・コミュニティーのマイケル・アトキンソン監察官の参加を得て実施されており、ウクライナ・米国間電話会談後の情報分野の職員からのクレームに関する内容であったと伝えられている。

また、これを受けて、民主党のバイデン氏は、ウクライナ・米国両大統領の電話会談の内容を公開するよう要求している。同日、The Hillが報じた。

報道には、バイデン氏が「トランプ氏が現在しなければならないことは、最低でも、現在取り上げられている電話会談の記録を速やかに公開することである。米国国民が自らの評価を下せるようにするためだ」と述べたと書かれている。

バイデン氏は、トランプ大統領は国家情報長官事務所に妨害を停止し、情報職員のクレームを議会に渡すよう指示を出すべきだとの見方を示した。

報道には、バイデン氏が「報道内容が正しいなら、大統領による権力乱用と国家辱めの願望には際限がないことになる。このような振る舞いが、私たちの国の外政を利用し、政治的目的のために国家安全保障を破綻させて行われているのだと考えれば、特に不快なことである」と発言したと伝えた。

バイデン氏はまた、報じられた内容が正しければ、それは、トランプ氏が「米国のパートナーであり、今もロシアの攻撃を受けている主権国家（ウクライナ）に対しての圧力のために、自らの政権と米国のリソースを利用したことを意味する」と述べ、またそれは「政治的メリットを得ることを期待して法の支配を破綻させようとした」と発言したと報じられた。