メルケル独首相、独露間新ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は完成すべきと主張
1日、メルケル首相が独議会議員の質問に答える形で発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
メルケル首相は、「私たちは、そのプロジェクトは終わらせるのが正しいと思っており、その方向で活動している」と発言した。また、同時に、同プロジェクトに対する制裁が建設を困難としていることも認めた。
メルケル氏は、ノルド・ストリーム2は「経済的プロジェクトだが、政治的要素も含む」と述べつつ、だからこそドイツはウクライナ・ロシア間におけるウクライナ領経由ガス輸送契約の締結に向け多大な努力を注いできたののだと発言した。
メルケル氏は、米国による同プロジェクトへの制裁は法の支配の観点から「ドイツ政府の想像を超えたもの」だとコメントした。
これに先立ち、ドイツ議会の経済委員会にて米国のノルドストリーム2を対象とする制裁に関する公開公聴会が開催され、議員、ビジネス関係者、ゲアハルト・シュレッダー元独首相らが出席していた。その際、出席者たちは、主に米国の制裁を批判し、中には報復制裁を科すべきと提案する者もいた。
また、米国上院にて、米国の防衛予算案に独露間新ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に対する新たな制裁が含められたことが伝えられている。
なお、2019年12月に発効した米国の対ノルド・ストリーム2制裁により、現在同パイプラインの建設作業は停止している。
これに対して、ロシア政権は、2020年年内に同パイプラインを完成させる意向があると伝えている。
天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」は、ロシアからドイツへ、ウクライナを迂回し、バルト海を通って建設されているものである。全長1200キロメートル以上であり、完成すると年間550億立方メートルのガスを送ることが可能となる。同パイプラインは、ロシアのガスプロム社と欧州の諸企業(Engie、Uniper、OMV、Shell、Wintershall)が共同で建設しているもの。ウクライナ、米国、ポーランド、バルト諸国は、ノルドストリーム2の建設に反対を表明している。