リトアニアには、国家政府に支えられた独自の準軍事組織である「リトアニア小銃手連合」が存在する。同組織は「シャウリャイ(Šauliai)」としても知られる。1919年に創設された同組織は、平時に国民に対して武装及び非武装の抵抗の訓練を行うことを目的としている。「連合」の志願団員は非常事態の際に国家機関を支援し、戒厳令下ではその武装部隊はリトアニア国防軍の直接指揮下に入る。「リトアニア小銃手連合」は、最短で11歳から団員を募集し、18歳に達した後に宣誓を行う機会を提供している。
現在の「リトアニア小銃手連合」の司令官であるリナス・イゼリス大佐は、1992年に軍歴を開始した職業軍人であり、リトアニア首相の推薦を経て2023年に現職に就任した。
ウクルインフォルムは、ロシアの対ウクライナ侵略及び地政学的変化により、欧州が自らの防衛により大きな責任を負うことを余儀なくされ、ロシアと直接隣接するリトアニアが他のバルト諸国と共に困難な状況に置かれている中で、イゼリス大佐と対談した。その際、EUの防衛準備、大西洋両岸関係、欧州の民間人による脅威認識、欧州をより強く、より強靭にするためにウクライナから学ぶべき教訓、同氏が率いる「リトアニア小銃手連合」の歴史について話を聞いた。
聞き手:イェウヘン・マテュシェンコ(ブリュッセル〜ヴィリニュス)
写真:「リトアニア小銃手連合」提供
ウクライナを失えば、欧州は終わり
現在、大西洋間の繋がりが圧力に晒される中、欧州は防衛準備へのアプローチを再評価しています。しかし、欧州連合(EU)の社会では、潜在的かつ軍事的な「不測の事態」への脅威認識が必ずしも一様ではありません。リトアニアの状況はどうでしょうか?
私たちは常に、火山の隣で暮らしているような感覚を抱いています。リトアニア国民にとって、ロシアは新しい脅威ではありません。15世紀に自らの領土を失い始めて以来、私たちは、ロシアという1つの強力な敵しかいないことを理解しています。国民の100%が非常事態への準備ができているとは言えません。何より、皆が愛国者というわけではないですし、軽視している人々もいます。私たちのところには確かに、ロシア支持者もいますが、彼らは当然ながら少数派です。
今日、私たちは歴史に立ち返っています。なぜなら、リトアニアは「戦士の民」だからです。何世紀にもわたり、私たちは欧州人のサバイバルを助けてきました。かつて私たちはモンゴル軍勢から欧州を救いました。いつの日か軍勢は再来するかもしれません。私の念頭にあるのは、今ウクライナ人と戦っているロシア人のことです。
これは新しいタイプの戦争です。過去には経済的戦い、イデオロギー的戦い、対ファシズムや対共産主義の戦いがありましたが、今は事実上の聖戦、生存をかけた戦争です。もし私たちがウクライナを失えば、欧州は終わりです。生き残ったウクライナ人はロシア軍に強制動員され、その戦力が欧州へと進軍し、破滅的なシナリオを招くでしょう。だからこそ、今ウクライナを助けることが非常に重要なのです。
ソ連崩壊後、ロシアはまずチェチェンを、次にジョージアを攻撃しました。その時点で、次がウクライナになり、4番目の標的がバルト諸国になることは明白でした。
だからこそ、多くのリトアニア人が募金や様々な装備の提供を通じて、これほどまでにウクライナ人を助けたがっているのです。同時に、ロシアの脅威に直面した経験のない欧州の人々は、ロシアがどれだけ危険なのかを、単に理解していません。ロシア人には戦略があり、長期的に何を達成したいかを知っています。中国もまた戦略を持っており、米国も独自の戦略を策定しています。なぜなら、旧世界はすでに崩壊したからです。一方、私は、欧州において、長期的な戦略は1つも見当たらず、そのことが現在の歴史的時期を欧州にとって非常に危険なものにしています。

リトアニアが備えるロシア侵略の4つのシナリオ
近い将来、ロシアが実際にバルト諸国へ侵攻する脅威をどのように評価していますか? 北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、数年以内にNATOの東翼がロシアの侵略に直面するおそれがあると述べていました。
ソ連が崩壊したとき、私たちはロシアがバルト諸国を制圧しようとする可能性についての4つのシナリオを検討しました。なお、ロシアがNATOと戦争をする場合、ベラルーシが傍観することができないため、ベラルーシ軍との共同のものになるかもしれません。
第1のシナリオは、ハイブリッド戦争です。これは2014年にウクライナで、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)や特殊部隊に支援された「レドゥート」や「ヴァグネル」の戦闘員が標章のない軍服で現れる形で、私たちが目撃したものです。しかし、この侵攻の前には、大規模な情報工作やサイバー攻撃が行われました。その侵攻は、それら最初のハイブリッド行動の延長線上のものに過ぎませんでした。それ以降、ウクライナは多くの教訓を学び、今では西側もそのようなシナリオへの備えがあります。リトアニアでは、多くの高級将校や大佐たちがこのシナリオを理解していました。なぜなら、かつてロシアの教科書でそれを学んでいたからです。これらの教科書では、侵攻とは単に最終局面に過ぎず、その前には既に「宿題」が済まされているのです…。ロシア人は常にそのように行動していますし、現在ではテレグラムやその他のツールを用いており、密輸、工場への放火、記念碑の損壊などのために、数百ユーロで誰かを雇うというのは、彼らにとって簡単なことです。ハイブリッド戦争は既に欧州全域に対して行われており、欧州各国の政府はそのことをよく把握しています。
私たちが演習で学んだ第2のシナリオは、「リフレクシブ・コントロール」(反射制御)工作を通じた「地元住民の認識変更」でした。その最終目的は、ロシアの戦車がグレネードランチャーではなく、花束で迎えられるようにすることです。
ソ連崩壊後、私たちのところでは誰もがロシア語を知っていて、ロシアの映画を観ていました。私たちの軍人の間でも、多くの者が「リュベー」のようなロシアの音楽を聞いていました…。その後、私たちはこれではいけない、間違っていると気が付きましたが、多くの人にとっては既に手遅れでした。リトアニアには、今でも英語を話さない人がいますし、リトアニアがロシアのテレビ局を禁止しても、ユーチューブやその他のプラットフォームを通じてロシアのコンテンツには簡単にアクセスできるままです。そのため、一部のリトアニア人はロシアのコンテンツに毒されてしまっており、彼らを助けられるような「抗生物質」は存在しません。
実際のところ、助けられない人々が若い世代にとって代わるだけの時間だけが必要です。面白いことに、リトアニアにロシア系民族的マイノリティはいますが、最も「親露派」が多いのは、過度に洗脳されたリトアニア人なのです。
リトアニアにとっての良いニュースは、ロシア支持者たちが特定の地域に固まって住んでいるわけではないことです。そのため、(編集注:ウクライナ東部の)ドンバスのようなシナリオが私たちのところで起きる可能性は小さいです。
第3のシナリオはエネルギー封鎖です。ロシア人は1997年に既にパイプラインを止めたことがあり、当時私たちは、それが私たちの国に対する事前に計画された攻撃であることを理解していました。だからこそ、私たちはエネルギー面の独立を決定したのです。私たちはロシアの電力網から離脱し、ロシアのガスや石油を拒否しました。残念ながら、エドワード・ルーカス氏が著書で明確に指摘したように、一部の欧州諸国はロシアの炭化水素に過度に依存しているため、モスクワがそれらの国での影響力工作や政府への恐喝を行うのが容易になっています。
第4のシナリオは予期せぬ迅速な攻撃です。例えば、民間人の格好をした数千人のロシア軍人が、夜間に民間の車両でリトアニアに到着します。それは、午前5時頃に約400機の「シャヘド」、巡航ミサイル、弾道ミサイルによる攻撃を伴います。

欧州は第4のシナリオへの準備ができていますか?
それは非常に危険なシナリオです。発電所、病院、軍事基地、司令部、議会、大統領府といった全ての重要標的に500弾の無人機やミサイルが放たれた場合、それに準備のできている欧州の国があるとは私は思いません。それに続く、あるいは同時に、空挺強襲作戦が開始され、その後戦車や装甲兵員輸送車による正規戦の攻勢が始まることになります。
しかし、これはウクライナで見たものとは全く異なるシナリオになるでしょう。ウクライナでは、世界第2位の軍隊と見なされていたロシア軍が、誤った諜報データに基づきウクライナの抵抗を過小評価したため、最初期に損害を被りました。侵攻準備のためにウクライナでの工作に投じられた巨額の資金が、ウクライナのロシアの傀儡たちによって単に着服されていたのです。
軍事的な観点から言えば、20万人未満の戦力で複数の方向から侵攻するというのは、狂気の沙汰でした。しかし、ロシアはそれを実行し、大失敗を犯したのです。
実戦で鍛えられたウクライナ軍なしに欧州の未来はない
その場合、欧州は、実戦の豊富なウクライナ軍の経験を考慮し、ウクライナがEUに加盟する前であっても軍事支援を仰ぐ可能性はあるでしょうか?
真にロシア人とどのように戦うか、(編集注:ロシア軍の)「ルビコン」のような専門的部隊からどのように身を守るかを知っているのは、ウクライナの軍人しかいません。ウクライナ軍なしで欧州を防衛するのは非常に困難となるでしょう。遅かれ早かれ、実戦で鍛えられたウクライナ軍なしに欧州の未来はないことに、誰もが気づくはずです。一部の国が第二次世界大戦型の衝突に備えているのを目にしますが、それは間違いです。
戦争の進め方には2つの系譜があります。私は1つを「モスフィルム」流(編集注:モスフィルムはモスクワにある映画スタジオ)、もう1つを「ハリウッド」流と呼んでいます。「モスフィルム」は、歩兵の波を確実な死へと送り込み、家族に戦死通知と、もしかしたら、死後の勲章を送るスタイルです。しかし、私は、地雷原を充実させ、衝突ラインから遠く離れた場所に無人機操縦員を配置する「ハリウッド」流を好みます。私は、戦争のさらなるロボット化や無人機化を伴い、未来はこの西側の流派に属していると思っています。結局のところ、西側は豊かですから、それを実現することができます。まだ不足しているのは軍需産業能力ですが、国防予算が増額された今、それは時間の問題です。
欧州は、恒常的な議論から行動へと移る必要があります。全面侵攻開始以来、議論ばかりが続いてきました。米国でトランプ氏が大統領になって、欧州人はようやく真の危機感を感じ、自らの防衛への投資を増やし始めました。今、軍需工場への政府発注が増え、新たな生産ラインが建設されているのを目にし始めています。長射程・中射程無人機や、高速・高高度化し、MESH技術やカメラを搭載した改良型無人機の迎撃機をはじめ、一部のノウハウはウクライナから借用されていきます。欧州にはまだやるべきことが多くあります。
私は頻繁にウクライナを訪れ、様々な司令部に行きますが、そこではよく英国人を見かけます。つまり、英国人は本当に準備をしており、状況を非常に深刻に捉えていると私は結論付けています。欧州諸国の準備状況を評価するのは私の役割ではありませんが、誰かが真の変革を開始し、他国の模範となることが最善であることは間違いありません。
西側には、ロシア侵略者を100%葬るためのプランが必要です。

NATOの結束が圧力を受けており、米国が欧州同盟国に対し、イランでの戦争努力を支援する準備がないと非難している中で、もしかしたら、結束には亀裂が入っているのかもしれないことを私たちは見ています。私たちは、クビリュス欧州連合(EU)防衛担当委員が広めている欧州の防衛面の自律を求める呼びかけを目にしています。しかし、その自律達成や防衛関連の意思決定のテンポは、欧州において十分なのでしょうか?
NATOについて語る際には、基本に立ち戻る必要があります。この同盟は、米国による欧州への軍事保証というアイデアを中心に設立されたものです。第二次世界大戦前、欧州人は自分たちの間で頻繁に戦っていました。フランス対ドイツ、フランス対英国…という具合にです。第二次大戦後、米国は軍事的プレゼンスを確保し、欧州復興のためのマーシャル・プランを策定し、核の傘を提供しました。ロシアは欧州を恐れたことは一度もありません。彼らが本当に恐れていたのは、核戦力を持つ「イカれたカウボーイ」のことであって、それとの対決の結果、完全なハルマゲドンが生じることだったのです。
現在のNATOの状況について、軍事的な環境において何かが「ひび割れている」とは思っていません。計画策定や演習は通常通り続いており、これは非常に良いシグナルです。「リトアニア小銃手連合」の大隊の準備においても、リトアニアに駐留する米国人は非常に有益です。彼らは隔週の週末、私たちを演習に招き続けてくれています。
徴兵制がないことが予備役不足を招いている
米国からの圧力が、欧州同盟国の防衛面での自立に機能していますか?
10年前、リトアニアが国防費にGDP比約1%しか支出していなかった頃、私は論文で、NATOの目標である2%を少なくとも早期に達成すべきだと書きました。当時の指導教官だった英国人の学部長は、それはナンセンスだと言いました。彼は、リトアニアには最低でも5%、あるいは7%が必要だと強調しました。軍隊を創設するだけでなく、武装させなければならないからです。空っぽの機構を持っているのではいけません。書類上に部隊が存在しても、武装していなければ、それは事実上の偽の部隊です。米国国防総省は2011年に、米国はもはや欧州で自国の兵士を死なせるつもりはないと欧州諸国に非常に直接的に伝えていました。ある会議でペンタゴンの高官が特定の国を批判し始めました。ある国には、冷戦期には4つの機械化軍団を持っていたのに、なぜ今は1個師団すら編成できないのかと想起しました。彼は、別の欧州同盟国に対しては、以前は1000両あった戦車が今やゼロになっていることを喚起しました。
問題は消えていません。欧州はもっと多くの武器を生産すべきです。そして、もっと多くの予備役が必要です。ウクライナで激化する戦争において、ロシアはおそらくすでに3個軍(編集注:に相当する兵力)を失っており、ウクライナ側の損失も当然ながら甚大です。一方で、欧州全域において、徴兵制はほぼありません。これは、敵の攻勢を退ける第2波、第3波の予備役がいないことを意味します。しかし、全ての国で準備状況に問題が深刻なわけではありません。例えばフィンランドは、多くの国よりも潜在的な紛争への準備が進んでいます。
ウクライナは防衛産業再建の非常に良い例です。ロシアが「ゲラン」や「モルニヤ」という2つの無人機生産ラインの改良に苦心している間に、ウクライナはすでに膨大な種類の無人機を製造しています。ウクライナほど多種多様な武器を生産している国を、私は他に知りません。
欧州はどの道を進むべきでしょうか?
ロシア人との戦争に備えるのであれば、欧州防衛の未来は、ウクライナの防衛産業とウクライナ軍を全体の構造に統合することにあります。

NATOはウクライナの実戦経験を戦闘実施規定に、特に防空戦術に十分統合していると思いますか?
他国についてのことは言えませんが、少なくともリトアニアでは、いくつかの経験を取り入れ、製造を行い、機動防空班を創設しようとしています。いくつかの国では、その分野の行動が生じていないことを私は見ています。欧州は防空措置の体系において、多くの改善を必要としています。私たちは再び防衛産業発展の必要性という話に戻ることになります。諸国政府は、軍事産業の代表者たちと協議しなければなりません。2万ユーロ相当の無人機を、最大300万ユーロもするミサイルで撃墜してはいけません。それでは備蓄があまりに早く底をついてしまい、私たちには新しいミサイルを購入する場所がないのです。そして、私が今話しているのは、第1波の防衛のみのことであって、第2、第3波の防衛のことを考えればなおさらです。
たとえ第2波防衛のために20万人の予備役がいたとしても、彼らには第2次世界大戦の基準、つまり小銃とヘルメットではなく、適切な装備を整えさせる必要があります。今は2026年であり、私たちには別の解決策が必要です。旧式の兵器の備蓄は、おそらく当初のウクライナのことは助けたかもしれませんが、私たちのような小国にとっては、より現代的な軍隊を持たず、知的に戦うことができなければ、それは全領土の喪失を意味することになります。
「リトアニア小銃手連合」への加入希望者には3つの質問をする
あなたのユニークな組織(「リトアニア小銃手連合」)について、国防省といかに統合されているか、政府がいかに支援しているかも伺いたいです。あなた方は国の全体的な防衛準備態勢の向上を支援していますね。あなた方の組織の経験は、他の欧州諸国にとっても有益なものでしょうか?
素晴らしい質問です。多くの国が私たちを少し羨ましく思い、自国にも同様の組織を持ちたがっているのを見ています。しかし、それらを作るのはそう簡単ではありません。私たちには立派な伝統があります。この組織が設立されたのは、はるか昔、第一次世界大戦直後の1919年で、ドイツ軍やロシア軍が依然として強姦、殺害、略奪を行っていた時期でした。全てのパルチザンを1つの屋根の下に集め、状況をコントロールするために組織を創設するという決定が下されたのです。2つの世界大戦の合間の時期、組織は社会をパルチザン戦に備えさせる責任を負っていました。組織のシンプルな野心は、全ての男女が小銃の扱い方を知っている状態にすることでした。(編集注:1991年の)独立回復後、私たちには2つの国家親衛隊があります。ウクライナの国家警護隊に似た連邦国家親衛隊と、私たちの国家親衛隊(リトアニア小銃手連合)です。違いは、私たちはアフガニスタン、イラク、コソボなどの国外へ派遣されない点にあります。派遣されるのは、職業軍人として給与を受け取っている者たちです。
一方で、私たちの連合のメンバーはボランティアです。これは、(編集注:ウクライナの)マイダン後に人々が「アイダル」やその他の部隊に入隊し、ただ国に何かを捧げたいと願って編成したのを彷彿とさせるものです。新しい人々が私たちの組織に加わりたいとやって来た時には、私たちは次のような質問をします。「あなたはリトアニアの愛国者ですか?」「あなたは国のために人を殺すことに同意しますか?」「あなたは国のために死ぬ準備がありますか?」もしその答えが「いいえ」であれば、即座に「さようなら」と告げます。また、訓練に参加する時間があるかどうかも尋ねます。備えたいのであれば、能力を習得しなければならず、基礎訓練が必要だからです。私たちは、自分たちのことを英国のSASのようだと冗談を言います。なぜなら「毎週土曜日と日曜日」、あるいは夜間に訓練しているからです。人々は私たちに資金を寄付し、私たちは独自の射撃場や訓練場を整備しています。私たちは、非武装の市民抵抗の訓練や、軍への支援提供の方法などに特に責任を負っています。また、学校では7年生から愛国教育のコースを実施しています。現在、国防省からの命令で、5年生から教育を開始することになっています。私たちの組織には訓練生(カデット)軍団があり、同軍団は11歳から入隊できます。私たちは英国のシステムを模倣し、それを改良しました。
訓練生が18歳になった後、私たちは彼らに軍事の一部を教え始めます。ですから、彼らが大人になり、警察、軍、あるいは国境警備隊に入隊すると決めた時には、既に準備ができているのです。訓練生は指導官になることもできます。私たちは彼らにリーダーになるよう教育しています。
今は学校の休暇期間ですが、私たちの駐屯地に来れば、既に医療、無人機、サイバー、あるいは救助といった専門部隊で学んでいる多くの若者を目にするでしょう。これらのコースは、特に大都市で非常に大きな人気を博しています。しかし、農村部では状況はあまり芳しくありません。ちなみに、主な問題はそこでの人口が減少していることです。私たちは、欧州の多くの国と同様に、人口動態がマイナスの国です。人口問題も解決しなければなりません。それは私たちを殺し続けており、他のどの敵よりも静かにそれを実行しています。

ウクライナから学び、戦争の臭いを感じる必要がある
ウクライナ軍との協力における主な方向性は何ですか?
私たちは、(編集注:ウクライナの)無人機システム軍と協力し、彼らから学んでいます。他にどこで学べるというのでしょう? ドイツの駐在武官に助けを求めれば、戦車兵のコースなら簡単に組織できるでしょう。しかし、無人機システム軍の大隊本部がどう行動すべきかについては、どこで学べるでしょうか? それは最前線でしか不可能です。現地に行き、大隊の活動を観察しなければなりません。だから私たちは、将来指導的立場に就く可能性のある射撃手、中隊長、副中隊長、小隊長、将来の大隊長候補、参謀長候補たちをウクライナへと派遣しています。彼らはウクライナの将校たちに質問し、全てを詳細に記録しています。
私たちは、敵の戦術の変化にウクライナ人がいかに適応しているかを学んでいます。光ファイバーを用いた無人機への対抗策や、戦略的施設の保護方法を研究しています。私たちは、戦争の臭いを感じ、いかに戦うかを理解する必要があります。単にキーウへ行き、握手を交わして、象徴的な贈り物を交換し合うだけでは、助けにはなりません。当然リスクはありますが、私たちは前線へ向かうべきなのです。
また、私たちはウクライナの特殊部隊とも協力していますが、その活動の詳細に立ち入ることはできません。
私自身、3か月ごとにウクライナへ足を運び、大佐、中尉、軍曹たちと話をしています。部隊を訪問し、様々な作戦を目の当たりにすることで、彼らがいかに無人機や歩兵、あるいは火砲に対処しているかという現実を見て、そのデータを処理して自分なりの認識を形成しています。重要なのは、大国と小国では防衛の原則が全く異なるという点です。リトアニアには戦略的深部がないため、ウクライナの経験をそのままコピーすることはできません。だからこそ、私たちは自国領土を1メートルたりとも失うわけにはいかないのです。もし失えば、陣地を回復することは非常に困難になります。
ロシアはソ連再興を渇望している
あなたは、近い将来に平和が訪れるとは予期されていないようです。あなたの考えでは、ロシアのさらなる進軍や欧州への脅威を阻止するには、どうすれば良いでしょうか?
ロシアには常に浮き沈みがありました。革命やその他の国内動乱の直後など、ロシアが弱体化する時期があります。そのような時期に、私たちはより良く準備するための時間を得られます。しかし、その準備は現実的なものでなければなりません。
私が非常に恐れているのは、もしウクライナでの戦争が終われば、欧州の軍事予算も削減されてしまうのではないかということです。すなわち、多くのことは政治家にかかっています。
ウクライナが戦っている限り、ロシアには複数の戦線で同時に戦う能力はないため、欧州にとっての通常の軍事的脅威は存在しないと私は考えています。彼らが私たちの隣に残しているのは軍部隊の警備兵力に過ぎず、一部の部隊は解散さえしており、兵士もおらず、機材もありません。全てはウクライナにあるのです。
この戦争で、FPV無人機が転換点となりました。ウクライナにおける無人機システム軍の展開は非常に賢明な決定であったと思います。もし彼らがいなければ、ロシア側は既にウクライナを打ち負かしていたでしょう。通常戦においては、彼らの方が強力であるように見えます。ロシア側はある方向に、戦車を送り込めなければ、小規模な歩兵グループを送り込み、それを何度も何度も繰り返して、最終的に弱点や脆弱性を見つけ出すのです。
加えて、ロシア側は学習しています。今日のロシアの軍事的思考は、以前とは全く別物です。作戦レベル及び戦略レベルにおいて、彼らは多くを学びました。さらに、ロシア側はその政策において一貫しています。まずウクライナを破壊し、その後さらに継続してソヴィエト連邦を再興したがっているのです。全てはベラルーシから始まり、今はウクライナを吸収しようとしています。ロシア人は、ウクライナなしにはソ連を再興できないのです。