国際刑事裁判所、クリミアとドンバスにおける戦争犯罪の完全捜査開始は可能と判断

国際刑事裁判所、クリミアとドンバスにおける戦争犯罪の完全捜査開始は可能と判断

ウクルインフォルム
国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)検察事務所は、クリミアとドンバスにおける戦争犯罪と人道に対する罪の完全捜査を開始可能とする判断を発表した。

11日、ファト・ベンスダ主任検察官の声明が公開された

声明には、「ウクライナ情勢の文脈にて行われた様々な行為がICCの管轄範囲の戦争犯罪と人道に対する罪に該当すると考える十分な根拠があるとの結論に至った。この結論は、私たちの年次報告書により予備調査実施の結果として詳細に掲載される」と書かれている。

ベンスダ氏は、自身がICC主任検察官の任期の終わりが近いことを伝えつつ、その上で本捜査案件について決定を下す意向を示し、複数のものは完全な捜査へと移行することになると指摘した。

ベンスダ氏は、「入念かつ独立した審議プロセスの総括として、今私は、ウクライナ情勢に関する捜査を開始するための法的基準が遵守されていたことを発表することができる」と発言した。

また、同日、ベンスダICC主任検察官は、ハーグにおけるウクライナのヒュンドゥズ・メメドウ検事副総長との会談時にも本件につき説明した。ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

ベンスダ氏は、予備捜査が終了したということは、その結果によって、クリミアとドンバスにおいて行われた犯罪に関し完全な捜査ができるということだと指摘した。

戦争犯罪・人道に対する罪実施の完全な捜査の開始の決定は、ICCの主管院が決定を採択することになるとのこと。

メメドウ・ウクライナ検事副総長は、ICC検察事務所に対し、今回の決定につき謝意を伝えた。同氏は、「状況の予備調査の終了は、重要な一歩であり、司法正義の保証であり、それは占領国の政治的・軍事的幹部にとっても言えることである。ウクライナ国内の法執行機関と検察がウクライナや国際的な機関と協力して集めた証拠が、刑事司法分野の国際的最高機関において十分な根拠、説得力ある証拠となったことを嬉しく思っている。これにより、国際法への信頼は、ウクライナ人を鼓舞していくことになる。誰も罰を逃れることはできない」と発言した。

メメドウ氏は、今年になってからも、クリミアにおける国際人道法違反について3つの情報資料を提出したとし、それはクリミア半島からのクリミア住民の違法な追放や、資産の破壊、土地収用、児童の軍事化に関する内容だと指摘した。

さらに同氏は、約7年間の軍事侵略により、国内レベルの努力だけでは不十分であることが判明しているとし、ウクライナの捜査機関や検察は被占領地にアクセスできず、被害者や証言者への事情聴取といった捜査行為ができていないと説明した。

同氏は加えて、「ロシア連邦が強制的国籍付与や違法な民間人の移住を行なっているため、法執行機関は、有益な証言者を失う可能性がある。さらに、戦争犯罪はクリミアやドンバスの被占領地、ロシア連邦の司法によって隠蔽されており、占領国は、私たちによる犯罪者の追訴のための法的支援の要請を全て無視している」と発言し、国際刑事裁判所の完全捜査への期待を示した。

また、ドミトロー・クレーバ外相は11日、本件につきツイッター・アカウントにて、「2015年、ウクライナは、ハーグのICCに、ウクライナ東部とクリミアにおける戦争犯罪と人道に対する罪に関して要請を行なった。検察官たちが文書を分析し、今日、歴史的な決定、公式な捜査を開始するための全ての根拠があることを発表した」と発言した。

クレーバ外相は、国際司法は「迅速ではないが、不可避である」と述べ、「いつか、ロシアの犯罪者は必ず裁かれる」と強調した。

なお、ICCは、2015年からクリミアとドンバスにおける国際人道法、国際刑事法の規範違反の分析していた。この間、ウクライナは、同裁判所に12の情報資料を提示している。

ICCは、国際刑事裁判所ローマ規程を根拠に設置されている。ウクライナは、2000年1月20日にローマ規程に署名しているが、批准を行なっていない。未批准の原因の一つは、2001年に憲法裁判所が、ローマ規程とウクライナ憲法の複数の項目に矛盾があるとの判断を下したことにある。

そのため、ウクライナはローマ規程の加盟国ではないが、ローマ規程は未批准署名国にも要請を行うことを可能としている。

なお、ロシアは、ローマ規程の署名を撤回している。しかし、ICCは、ウクライナ領でロシア国民が行なった犯罪に関しては、捜査を行うことができる。


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