ロシアに拘束されているウクライナ民間人の確実な数は不明=人権保護団体

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ウクライナの人権保護団体「ズミナ」で戦争犯罪記録活動を行うソクレンコ氏は4日、ウクライナ側は、ロシアが拘束する民間のウクライナ国民の確実な数を把握していないと報告した。

ソクレンコ氏がメディアセンター・ウクライナ=ウクルインフォルムでの記者会見「ロシアによる民間ウクライナ人の恣意的自由剥奪問題に関する欧州安全保障協力機構(OSCE)モスクワ・メカニズム」の際に伝えた。

ソクレンコ氏は、「民間人被拘束者の確実な数は不明だ。民間人被拘束者問題も扱っている(編集注:ウクライナ政権の)『捕虜扱い問題調整本部』からの最新の(被拘束民間人の)数は、1600人だ。その数がもっと多いかもしれないことは言うまでもない。彼らの中には、すでに非常に長い間、連絡がなく、どこにいるのかわからない者もいる」と発言した。

同氏はまた、ロシア側がウクライナの被拘束者を移動させているため、それによって彼らが現在どこにいるのかを把握することができなくなっていると説明した。

そして同氏は、「OSCEモスクワメカニズムの立ち上げによって、ロシアへの圧力強化が可能になり、ロシアが人々の情報を提供し、国際赤十字委員会(ICRC)のアクセスを認め、それによりICRCがロシア領で拘束されている人々のところへより積極的に向かうようになることを期待している」と発言した。

その他、同記者会見時、「人権メディア・イニシアティブ」のレシェティロヴァ代表は、同団体は、オンライン上でロシアで拘束されているウクライナ人の判明している場所を示すインタラクティブマップを掲載していると伝えた。

同氏は、「現時点でウクライナ人が捕らえられている100以上の拘束場所が掲載されている。彼らは非常に頻繁に捕虜(軍人)とともに拘束されている。民間人と捕虜が一緒にだ」と発言した。

また同氏は、「民間人拘束に関するほぼ唯一の情報源」となっているのは、捕虜交換で解放された軍人たちからの情報だと説明した。

同時に同氏は、「しかし、民間人と捕虜の違いは、軍人のためにはジュネーブ条約が存在するのに対して、民間人解放メカニズムは現在存在しないことである。そのため、私たちは、2月末にウクライナが主導して、民間人の解放に向けて国家連合が作られたことを大きく歓迎している(編集注:2月29日にOSCEで「モスクワメカニズム」が立ち上げられた)。そして、私たちは、今のところ宣言的である目的に非常に具体的な方策が足されていくことを非常に期待している。私たちには、どのように行動するか、誰を協議に関与させるか、どのようにロシア連邦に圧力をかけるかにつきアイデアがある。そして、当然ながら、私たちはそのアイデアを色々な国に提供していく」と発言した。

「人権メディア・イニシアティブ」のヤコウリェウ調査員(弁護士)は、ロシアに拘束される民間人の確実な数がわからない理由を説明した。ヤコウリェウ氏は、「問題は、それらの人々が被占領地にいることだ。しかし、私たちは、被占領地にはアクセスがなく、誰がいなくなったのかわからない。私たちは、一定の数の人がいなくなったと言われる。彼らがロシア領に移動させられたら、彼らはいわゆる『断絶』状態となる。つまり、彼らが外部世界とコンタクトが取れなくなるということだ」と発言した。

同時に同氏は、捕虜となっていた軍人がロシアから解放されることなどを通じて、被拘束民間人の情報もロシアから「漏れ出してくる」と指摘した。

その際同氏は、「しかし、ロシアはあらゆる規範に違反している。ロシアは、拘束者について伝えないし、彼らにステータスを与えない。それによって、その人物は、拘束されながら、自らの拘束についてクレームを出すことができないし、誰かに拘束されていることを伝えることもできない。それもロシアの体系的な国家政策の要素の1つであり、それが非常に深刻な犯罪であり、それは『人道に対する罪』を伴うものであることを物語っている」と強調した。

これに先立ち、OSCEにて2月29日に、ロシアによるウクライナ民間人の恣意的な自由剥奪に関する「モスクワメカニズム」を立ち上げられていた。同枠組みを通じて、独立専門家グループが近々、ロシアによる民間ウクライナ人に対する犯罪の調査を開始することになっている。同グループのマンデートには、被占領地での自由剥奪事例の解明、関連する拷問や残虐な扱いの分析が含まれる。その調査報告は、国際レベルでロシアの犯罪を記録・証明する上での重要な手段となる。