ロシアには、対ウクライナだけでなく、全欧州に対する計画がある=メルツ独首相

ドイツのメルツ首相は、ロシアがウクライナに対して開始した戦争は、欧州全体への脅威となっていると考えている。

12月31日の夜に放送される予定のメルツ独首相の年越しの演説の内容をウクルインフォルムが事前に入手した。

メルツ氏の演説には、「欧州では恐ろしい戦争が吹き荒れている。これは、私たちの自由と安全を直接脅かす戦争である。(中略)ロシアは衰えることのない苛烈さで、ウクライナに対する侵略戦争を継続している。ウクライナの人々が最も過酷な状況下で新年を迎えるのは、これで4年連続となる。その多くは電気がなく、ミサイルの雹(ひょう)にさらされ、友人や家族の身を案じながら過ごしている。それは、私たちに関係のない遠くの戦争ではない。ロシアの侵攻は、全欧州を標的にした計画の一部であったし、今もそうであることがますます明らかになっているからだ。ドイツもまた、破壊工作、スパイ活動、サイバー攻撃を毎日受けている」と書かれている。

またメルツ氏は、世界経済における保護主義への回帰や、原材料への戦略的依存が政治的なレバレッジとしてますます利用されるようになっているという課題も指摘している。さらに同氏は、輸出大国であるドイツはそれを特に痛烈に感じているとし、ドイツ企業が国際舞台で競争することはますます困難になっていると考えている。

加えて同氏は、「長きにわたり私たちの安全保障の信頼できる保証人であった米国とのパートナーシップも変化している。私たち欧州人にとって、これは自分たちの利益を自分自身で、以前よりはるかに強く守り、主張していかなければならないことを意味している」と強調している。同氏は、そのためにドイツは憲法改正や兵役改革などを通じて、国防を強化するための資金を投入していると指摘している。

同氏はその上で、「私たちは国として、自らを守る準備があることを示している。私たちの自由と生活様式は、守る価値があるからだ。世界の不確実性を前に、多くの市民が平和を憂慮していることを知っている。皆さんに言う。私たちは自らの安全をケアしている。私たちは安全な国に住んでいる。それが維持されるよう、私たちの抑止力を改善しなければならない。自衛せざるを得なくなることがないように、自衛能力を得たいと思っているのだ」と強調している。

そして同氏は、ドイツの新連邦政府は発足当初から、欧州レベルも含めて、「精力的に、かつ明確な羅針盤を持って」ドイツの正しい進路を選択することを決意していると指摘し、それは容易な課題ではなく、2025年はそのことを明確に示した、と考えている。