オーストリア外相「欧州の影響圏での分断は考えてすらならない」

アレクサンダー・シャレンベルク・オーストリア外相は、1945年のヤルタ会議に決められたように、欧州を複数の影響圏に分断することはあってはならないと発言した。

シャレンベルク・オーストリア外相がディ・プレッセ紙へのインタビュー時に発言した

シャレンベルク氏は、ロシアがウクライナのNATO不加盟や旧ワルシャワ条約機構加盟国からのNATO軍の撤退を要求していることにつき、「欧州にて、ソ連時代のように、人々の頭越しに影響圏が定められる『ヤルタ2.0』は、考えてすらならない。もしロシアが自らの主張を、過去同様、戦車とミサイルでのみ補強できると考えているなら、同国は実質的に自らの政策の失敗を認めることになる」とコメントした。

同氏はまた、ロシア連邦がNATOの東方拡大にて危険を感じているという主張は馬鹿げていると指摘し、NATO軍ではなく、ロシア軍こそがジョージア領の南オセチアとアブハジア、モルドバ領のトランスニストリア、ウクライナ領のドンバスとクリミアに侵攻したのだと強調した。

さらに同氏は、「モスクワがソ連崩壊から30年経ってなおファントムペイン(幻肢痛)を感じている可能性は大いにある。20世紀には、多くの国が帝国を失っている。英国、フランス、ドイツ、オーストリア…。しかし、それは別のやり方で対処できるものだ」と発言した。

ロシア軍のウクライナ周辺の集結にとNATOによるウクライナサポートの対応につき、シャレンベルク氏は、「あたかも誰かが枯れ草の山の近くでマッチ箱で遊んでいるような」感覚を覚えると指摘し、それによって火事が起きるかもしれず、起きてしまえば手に負えなくなると発言した。

同氏は、西側はロシアと対話の準備があるが、対話は平等で、最後通牒なく、「ウクライナのこめかみに当てられている小銃」を取り除いた上で行われるべきだと説明した。

さらに同氏は、EUは経済・金融分野の包括的制裁パッケージを準備しているとし、それはロシアがウクライナに侵攻した場合に発動されるとコメントした。同氏は、「エスカレーションがあれば、非常に明確で一義的で迅速な対応が行われる」と述べた。

同氏はまた、多くのことが今後の情勢に左右されるとし、「もしロシア軍がウクライナ領に大規模に侵攻したら、それは最悪のシナリオとなる。そして、サイバー攻撃、標章をつけない傭兵による攻撃、といった別のシナリオもある」と発言した。