米国、対ノルド・ストリーム2制裁を拡大

米政府は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関わる1団体と2隻の船舶を制裁対象に加える決定を下した。

22日、米国務省が発表した

発表には、「国務省が米議会に対して、欧州エネルギー安全保障保護法(PEESA、2019年)に従い、修正を加えた形で報告書を提出した。報告書には、船舶2隻と、ロシアと関係し、ガスパイプライン『ノルド・ストリーム2』に関与するトランスアドリア社が掲載されている」と書かれており、制裁対象は、このトランスアドリア社と同社船舶マーリンだと説明されている。

国務省は、今回の追加制裁を含めると、米国は、PEESAに従ったノルド・ストリーム2関係の制裁で、8名の個人と17の船舶を制裁対象にしていると伝えた。

同時に国務省は、「(米)政権は、制裁履行を含め、ガスパイプライン『ノルド・ストリーム2』への反対の立場を維持しているが、私たちは、ウクライナや北大西洋条約機構(NATO)・欧州連合(EU)に隣接する国々にとってのガスパイプラインと関係するリスクを減らし、またロシアのエネルギー分野などの有害な活動に対抗するために、ドイツやその他の同盟国やパートナー国と協力を続けている」と強調している。

なお、7月21日、米国とドイツは、「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表していた。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。同合意は、米国が同ガスパイプラインの完工を容認するものであるとして、米国内外にて批判が出ていた。

とりわけ、同合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、米独合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。

なお、11月16日、ドイツのエネルギー規制機関「連邦ネットワーク庁」(BNetzA)は、独露間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の利用開始に必要な認証プロセスを一時的に停止したことを発表している