ウクライナとアフガニスタンの情勢は比較できない=元米ウクライナ特別代表

カート・ヴォルカー元米国務省ウクライナ問題特別代表(2017〜2019)は、アフガニスタンで生じた危機がウクライナでも起こる可能性はないとし、両国情勢は全くもって異なると指摘した。

ヴォルカー氏がウクライナ国営ロシア語テレビ局「家」へのインタビュー時に発言した

ヴォルカー氏は、「そこには最小限の類似性すらない。アフガニスタンは、国内が深く断絶しており、中央政府は脆弱で、自らの力で安全と安定を維持することができなかった。そして、米国やその他の国という、多くの外国の参加者がおり、これらの国が中央政府がより強力な社会を築けるよう支援しようとしていた」と指摘した。

同氏は、ウクライナは全く反対の状況だと指摘し、「ウクライナは、まとまった強力な国であり、成熟した国家機構があり、強力な政府がある。同国は、自ら国内の治安を維持できる。同国は、外的支援に依存していないし、社会の分断という問題を抱えていない」と強調した。

さらに同氏は、両国で生じる戦闘も比較できないとし、アフガニスタンでは、地域の過激主義勢力「タリバン」が政権を奪取したのに対し、ウクライナでは、ロシアの侵攻と領土の奪取という、外国による侵略が生じているのだと説明した。

同時に同氏は、ロシアの報道機関はアフガニスタン情勢を利用して、米国を否定的に描写していると指摘した。同氏によれば、ロシアメディアは、アフガニスタンとウクライナは似ている、ウクライナでも似たような結末が起こり得ると報じているのだという。

これに対してヴォルカー氏は、「ロシアの話は全て、影響力行使を目的としている。彼らのメッセージは、必ずしも真実でなくても良くて、敵対者の心理に影響を与えるべく、自らのナラティブを植え付け続けているのだ」と指摘した。

さらに同氏は、このようなロシアの偽情報メッセージは、欧州でも誤った認識を形成することも目的にしていると述べ、「彼ら(編集注:ロシア)は、ウクライナを必要としている。彼らは、米国はウクライナを支援しない、サポートしないと、欧州に思わせたがっている。そして、それを恒常的に繰り返し述べている。しかし、私は、現実は正反対なのだと確信している。米国は、北大西洋条約機構(NATO)の完全な加盟国であり、ウクライナを拡大パートナーシップにおける同盟国として全面的にサポートしており、ウクライナの安全保障をサポートし、ウクライナの改革・変革を支持している。さらには、ウクライナの欧州の一部、NATOの一部となりたいという願望も支持している」と指摘した。