ブリンケン米国務長官、独露ガスパイプライン制裁猶予につき「実質的な意味がある」

7日、ブリンケン米国務長官は、米政権が独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」建設プロジェクトを「根本的に悪いアイデア」だと述べつつ、建設事業会社と同社最高経営責任者に対する制裁を解除したことについて、同解除はいつでも止められるものだと指摘した。

ブリンケン国務長官が米下院外務委員会公聴会の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ブリンケン氏は、フィッツパトリック議員からノルド・ストリーム2に関する政府の立場を尋ねられると、「数週間前、5月19日、私たちは、船舶13隻のと企業4社に制裁を科している。これは、欧州エネルギー安全保障支持(PEESA)法により私たちが発動したものの中で最大である」と発言した。

同時にブリンケン氏は、同パイプライン建設の事業会社ノルド・ストリーム2社とその最高経営責任者に対する制裁が解除されたことについては、「その解除は無効化され得るものだ」と発言した。

同氏はまた、米政権がノルド・ストリーム2事業会社に対する制裁を解除した理由には「実質的な意味がある」と述べた。同氏は、同パイプラインは2010年に建設が始められており、バイデン政権が発足した時点では、そのプロジェクトの90%が終了していたことを喚起し、その建設プロジェクトがほぼ終了していることを考慮した上で、米国務省はノルド・ストリーム2社への制裁ではロシアが同パイプラインを完工することを止めることはできないだろうとの結論を出したのだと伝えた。

その上でブリンケン氏は、ノルド・ストリーム2が「根本的に悪いアイデア」であると強調しつつ、同時にその制裁猶予の決定はドイツ政府と広範な問題について対話を続ける必要を考慮した上で採択されたものだと指摘した。同氏は、「現在ドイツはテーブルに着いており、私たちは、何が可能で、何が必要かを把握するために彼らと連携している。私は、私たちはそう行動せざるを得ないと考えている」と発言した。

これに先立ち、米国務省は5月19日、米議会に対して、独露間で建設中の天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」関連の制裁対象者に関する報告書を提出した。これにより、プロジェクトに関わる船舶は制裁対象となるが、事業会社のノルド・ストリーム2社とその最高経営責任者(CEO)への制裁発動は見送られていた。

これに対して、21日、ウクライナ最高会議(国会)は、米議会に対して、ノルド・ストリーム2社を含む制裁発動を通じて、ウクライナと欧州のエネルギー安全保障を強化する努力を活発化するよう要請する呼びかけ決議を採択している。

写真:大統領府