ゼレンシキー大統領はロシアとの妥協が困難なことを理解した=米専門家

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」のピーター・ディキンソン研究員は、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領は就任当初はロシアとの対話を通じた妥協を期待していたが、後にそのようなシナリオが困難であることを理解した、との見方を示した。

ディキンソン氏がウクライナ国営ロシア語テレビ「家」局出演時に発言した

ディキンソン氏は、2019年のウクライナ大統領選投票日に向けた選挙期間中、ゼレンシキー氏はドンバスでの戦闘行為を外交的手段で止めることを心から望んでいたし、ロシアとの妥協を試みる準備があったとしつつう、しかしながら、大統領就任から1年半が経つと、ウクライナが民主的路線を進むことをロシアが拒んでいることから、妥協シナリオの実現は困難であることを理解したのだろうと指摘した。

同氏はまた、「残念ながら、ロシアは、ウクライナとの間に妥協的立場を見出すことを望んでいない。なぜなら、ロシアは、独立したウクライナに関心がないし、欧州的ウクライナとか民主的なウクライナに関心がないからだ。ロシアにとって関心があるのは、ウクライナにロシアの影響が及ぶか、あるいは混沌が生じるかである」と発言した。

同氏は、2020年にゼレンシキー大統領がロシアとの妥協は達成できないだろう、そしてウクライナが親欧州政策を取ることが最適な道だという結論に達したのだろうとの見方を示した。

加えて同氏は、「2つの道がある。1つは、全ての主張を退け、敗北すること。もう1つは、より具体的に親西欧的立場を取り、ペトロ・ポロシェンコ政治を踏襲することだ。私は、ゼレンシキー氏が最初からそう計画していたとは思わない。しかし、彼は結果的に、そうすべきであることを、他の出口はないことを理解したのだろう」と発言した。

同氏はまた、親露テレビやロシア政府系テレビが放送していることと現実は異なるとし、実際にはゼレンシキー大統領はウクライナ国内の民族主義的運動の発展を活性化させるようなことはしておらず、国内の現実的情勢を考慮しながら行動していると指摘した。

同氏は、「私は、彼がナショナリストになったとは思わない。私は、彼は現実主義者になったのであり、どこから戦争が生じたのか、どうしてそれが継続しているのか、誰が戦争の継続に関心を抱いているのか、について、心から理解したのだ思っている」と発言した。