ノルド・ストリーム2は欧州のエネルギー安保の原則に反している=米国務長官

米国現政権は、ドイツ政権との協議において、独露間で建設中のガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に反対する立場を維持している。

アントニー・ブリンケン米国務長官がロンドンにおけるG7外相会合やその際の各国外相との二国間会合の結果につきBBCラジオ4へのインタビュー時に発言した。米国務省が伝えた

ブリンケン氏は、「それ(ノルド・ストリーム2)は、欧州連合(EU)がエネルギー安全保障の文脈で定めている原則に確かに反したものであるし、一国への依存、この場合はロシアへの依存、の回避の原則にも反している。そして、それがウクライナやポーランド、その他の欧州の重要な国へと損害をもたらしているのだ」と指摘した。

同氏は、米国の前政権がノルド・ストリーム2に強く反対し出して以降、政権交代後も米国の本件への立場は変わっていないと強調した。

同氏は、「私たちは、同パイプラインは悪いアイデアだと思っている。それは、ロシアの利益を推進するものであり、欧州や私たちの利益を弱体化させるものだ」と発言した。

なお、ノルド・ストリーム2建設は、全長1234キロメートル、総額100億ユーロのプロジェクトで、すでに約95%の敷設が終わっている。

同パイプラインは、完成すると年間550億立方メートルのガスを送ることが可能となると説明されている。ただし、同パイプラインがウクライナを迂回すること、欧州の対露エネルギー依存を高めることから、ウクライナ、米国、ポーランド、バルト諸国が同パイプラインの建設に反対を表明している。

米国が2019年12月に発効した対ノルド・ストリーム2制裁により、同パイプラインの建設作業は停止していた。さらに、米国の2021年会計年度の国防予算を定める国防権限法(採択済み)にも、同パイプラインへの追加制裁が含まれている。

ゼレンシキー大統領は、「ノルド・ストリーム2」の建設は欧州とロシアのビジネスの問題ではなく、エネルギー戦争の問題であるとし、それはウクライナだけが敗北するおそれがある戦争であると発言している。

写真:大統領府