「露軍のウクライナ国境付近の活動は演習には似ていない」=米国代表

コートニー・オストリアン欧州安全保障協力機構(OSCE)米国臨時代表は、ウクライナ国境付近のロシア軍の活動は、定期的軍事演習に似ていないとし、2008年と2014年、ロシアはジョージアとウクライナに対して軍事作戦を開始した時にも同様に軍を集結していたと指摘した。

14日、オストリアンOSCE米国臨時代表がOSCEの常設理事会と安全保障協力フォーラムの特別共同会合の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

オストリアン氏は、米国はOSCEその他加盟国のウクライナ国境付近と被占領下クリミアのロシア軍軍事活動への懸念に加わるとし、「その挑発は、それでなくても緊張し脆弱な治安情勢に、さらなる不安定化の脅威をもたらすだけである」と指摘した。

同氏は、ロシアがウクライナ国境付近とクリミアにおける自らの通常と異なる軍事活動について十分な情報を提供しないことは、「ロシアを含む全57加盟国で採択した、ウィーン文書の文言と精神に反する」と発言した。

さらに同氏は、「ロシアは、7年前にウクライナ東部の紛争に火をつけ、それを今も支援しているが、今こそ正しく行動する時である。ウクライナ国境付近の自らの軍事活動の性格を明確に表現し、隣国・OSCE加盟国の懸念をウィーン文書にしたがってかき消す時が来ている。現在ある全ての情報が、現状の動きが通常の軍事演習ではないことを証明している」と発言した。

同氏は、米国は、ロシアによるその活動をロシア軍軍事演習「ザーパド」と関連付ける発言につき、「時期、配置地点、参加する部隊を考慮すると、それは真実のようには思えない」と述べた。

さらにオストリアン氏は、「ウクライナは、その活動に根拠ある懸念を抱いている。2008年も2014年もロシアは、まずジョージアに、それからウクライナに対して軍事作戦を開始する前に、同様に軍を集結していた」と強調した。

同氏は、OSCEロシア代表団は、過去数か月、OSCE常設理事会にて、ウクライナが大規模な軍事作戦の準備をしているという誤った言説を拡散していたと指摘し、「そのような激化はウクライナの側からは観察されていない」と発言した。

加えて同氏は、反対にロシアこそがウクライナ国境と被占領下クリミアに対して何千もの軍人を投入しており、「情報源から得られた情報によれば、ロシアは現在、ウクライナの国境に2014年以来最大の(兵力を)配置している。ロシアは、1万5000から2万5000の軍人をクリミア、あるいはウクライナ国境近くに移動させた。これには、歩兵、戦車大隊、ヘリ、防空システムが含まれる」と発言した。

また同氏は、一時的被占領下クリミアには現在3万1500のロシア軍人がおり、ウクライナ国境近くには、「数万の軍人」がいると指摘した。その上で、「今回のような隣国の国境近く、しかもあまつさえその国の領内での、事前通告のない大規模な軍事活動は、文脈・歴史を考えれば特に不安定化をもたらすものである。それは、意図の問題ではない。私たちが把握する限り、ウクライナは、そのような対応を生じさせると評価できるような行動は一切取っていない。私たちは、ロシアに対して今一度、その活動の規模、構成、目的を説明するよう要請する」と発言した。

これに先立ち、現在、ロシア連邦がウクライナとの国境近くと占領下クリミアに軍部隊を集結させていることが伝えられている。3月30日、ルスラン・ホムチャーク・ウクライナ軍総司令官は、最高会議臨時会議にて、ロシア連邦軍大隊戦術群28個がウクライナとの国境沿いに配置されていると述べていた。

同時に、ウクライナ東部では、今年に入ってから停戦違反件数が増加しており、ウクライナ軍人の死者数が増加。加えて、最近、ロシアによるウクライナでの侵略行為を正当化するようなプロパガンダ・キャンペーンが活発化している。

欧米諸国は、ロシアの情勢激化に関する懸念と、ウクライナの主権・領土一体性への支持を表明している。

4月10日、アンドリー・タラン国防相は、ロシアのウクライナ国境付近への軍集結の真の目的は、協議プロセスにてウクライナを妥協に追い込むための圧力強化の可能性があると指摘していた。