ゼレンシキー大統領、G7大使に汚職犯罪捜査機関トップの留任を明言

ゼレンシキー大統領は19日、G7大使たちとの会談時に、国家汚職対策局(NABU)設置根拠法の個別条項が違憲判決を出されたことによる、NABUの合法性や独立性、NABU局長の立場への脅威は生じていないと発言した。

ゼレンシキー大統領がウクライナに駐在するG7各国・EU大使たちとの会談時に発言した。大統領府広報室が伝えた。

大統領は、「憲法裁判所の判決は、NABU設置の事実や機能を無効化してはいないし、NABU捜査官の作業も制限していないし、NABUの法執行機関としての地位への疑義も呈していない。私たちは、12月16日以降もNABU局長が留任することを保証する」と発言した。

同会合に同席したシートニクNABU局長は、現在NABUの活動に決定的に影響を与えるような要因はないとする大統領と大統領府の立場に完全に同意すると発言した。

シートニク局長は、憲法裁判所の判決はNABUが独立して効果的に活動を行うことへは影響を与えていないと説明した。

また同局長は、NABUは、政権と一緒に、憲法裁判所の判決によって将来的に生じ得る法的な潜在的問題を正すための作業をしていくと伝えた。

これに先立ち、本年5月、オレクサンドル・ドゥビンシキー最高会議人民奉仕者党会派議員(編集注:大富豪コロモイシキー氏に近いとされる議員)を筆頭とする51名の議員が、憲法裁判所に対して、2015年のペトロ・ポロシェンコ大統領によるシートニクNABU長官任命の大統領令につき、合憲性審査を要請していた。

これを受け、同年8月、憲法裁判所は、同大統領令を違憲とする判決を出している。憲法裁判所は、NABU局長の任命・解任は、閣僚会議が行うべきと指示している。

ただし、31日、NABUは、同判決後も、シートニクNABU長官は同職に残り続けるとの解釈を発表している。

なお、NABUは、政権高官の汚職犯罪の捜査に特化した治安機関。SAPは、NABUの捜査に限定した手続き管理と確立した犯罪容疑の起訴を行う検察機関。両機関とも、尊厳革命(マイダン革命)後の2015年に設立されている。