EU大使、ウクライナ国民向け査証免除義務の再履行必要性を喚起

ウクライナ政権は、同国国民への欧州連合(EU)査証免除の付与条件となっていた義務を再履行しなければならない。憲法裁判所の電子資産申告関連の判決は、その条件の一つである汚職対策改革に疑問を投げかけている。

17日、マーシカスEU大使がオンラインフォーラム「改革のための対話:ヴィルニュスへの道」の際に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

大使は、EU査証免除の付与にてウクライナ国民はEU諸国を自由に旅行できるようになったのであり、それは大きな達成であったと喚起しつつ、「私たちは、自らの義務に従って行動してきたのだ。それは双方向の動きであった。ウクライナ側の義務もあり、その義務が履行されたから、私たちはそのような制度(査証免除)を施行したのだ。ウクライナ憲法裁判所により、その内の複数の義務が疑問にさらされている。現在、ウクライナのリーダーたち、特により議会に関係することだが、彼らは憲法裁判所、憲法危機に関係する挑戦をよく見て、政権幹部の電子資産申告、国家汚職対策局(NABU)関連で必要なことを再生するためのあらゆる行動をとらなければならない。それは、ウクライナの義務履行のためだ」と発言した。

大使は、危機の発端となったウクライナ憲法裁判所の判決からすでに3週間が経過したことを喚起し、「国の政治リーダーは、完全な義務感を持って改革を継続しなければならない」と強調した。

大使はまた、過去7年間多くのことが達成されたとし、特にウクライナ経済の安定か、銀行分野の浄化、EUとの貿易量の大幅増、非中央集権化改革の実施を指摘した。

その上で大使は、「私たちは、ウクライナのパートナーたちと連合協定の一環での作業継続を待ち望んでいる」と指摘した。

これに先立ち、憲法裁判所は10月28日、誤った資産申告の責任を定める刑法典366−1条と汚職防止法の複数条項を違憲とする判決文を公開。これを受け、国家汚職防止庁(NAPC)は、オンラインで公開されていた政権高官資産公開サイトへのアクセスを遮断した。電子資産申告は、欧州連合(EU)がウクライナ国民への査証免除付与の条件にするなど、2014年以降の汚職対策改革の主要な成果の一つとみなされていた。

ゼレンシキー大統領は30日、憲法裁判所の10月27日の判決を無効化し、現行の憲法裁判所裁判官の権限停止を定める法案を最高会議(国会)に登録している。その他、野党「声党」も、憲法裁判所の採択に必要な裁判官数を引き上げる法案を提出し、ラズムコウ最高会議議長他もNAPCの権利回復を提案する法案を登録している。

しかし、これらの法案はいずれも、まだ最高会議本会議の審議にかけられていない。11月16日、オレーナ・コンドラテューク最高会議副議長(野党会派「祖国党」推薦)は、最高会議には現在の憲法裁判所判決をめぐる危機の解決の決定を下す政治意志がないと指摘し、最高会議には作業部会が設置され、全ての会派・議員グループが入り、汚職対策政策委員会を基盤として憲法危機解決のための法案を作成すると発言した。

最高会議は、17日の本会議が休会すると、次回本会議が再開するのは12月1日となる。