裁判所、一審で出版書籍からメドヴェチューク氏の情報削除を命令

キーウ(キエフ)市ダルニツィキー地区裁判所は、ヴィクトル・メドヴェチューク最高会議(国会)野党生活党会派議員(編集注:メドヴェチューク氏の実娘の宗教上の代父はプーチン露大統領)の要請を一部受け入れ、歴史家・記者のヴァフタンフ・キピアニ氏の書いた『ヴァシーリ・ストゥスの刑事事件』の印刷・販売の禁止の判決を下した。

ウクルインフォルムの記者が伝えた。

マリーナ・ザスタヴェンコ裁判官は、メドヴェチューク氏のキピアニ氏とヴィヴァト出版社に対する要請の一部を認め、詩人ヴァシーリ・ストゥス氏(1938〜1985)の刑事裁判の『ヴァシーリ・ストゥスの刑事事件』に書かれた表現が一部(編集注:メドヴェチューク氏に関する部分)正しくないとし、削除を義務付けるとともに、当該箇所が削除されるまでの間、書籍の印刷・拡散を禁止するとする判決を伝えた。

また裁判所は、キピアニ氏と出版社に対して、同本に関係する情報の拡散をメディアやインターネット上に拡散することを禁止すると発表した。

なお、本件は、30日以内にキーウ控訴裁判所にて控訴可能。キピアニ氏は、控訴すると発表している。

『ヴァシーリ・ストゥスの刑事事件』は、2019年にヴィヴァト出版社から出版された書籍。ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国のKGBによるストゥス氏本人、証言、ストゥス氏の書簡などに関するアーカイヴ情報が多く含まれている。

メドヴェチューク議員は、1980年当時、ストゥス氏の意思に反する形で同氏の弁護士に任命された人物であり、弁護士でありながらストゥス氏の罪を認めたと伝えられている。その後1985年、ストゥス氏は獄中で亡くなっている(当時公式発表された死因は、心臓停止)。