ウクライナ・ジョージア、国連にてロシアによる占領を共同で非難 戦争から12年経過

ジョージアとウクライナの国連常駐代表部は、2008年8月のロシア・ジョージア戦争開始から12年経過したことに合わせて共同声明を発出した。

ウクライナ国連常駐代表部のオレフ・ニコレンコ報道官がフェイスブック・アカウントにて伝えた

共同声明には、8月7日にロシアによるジョージアへの本格的軍事侵略と同国領のアブハジアとツヒンヴァリの占領が始まってから12年が経過することが喚起されている。

声明には、「私たちは、ジョージア領のアブハジア地域とツヒンヴァリ地域の継続する占領と実質的な併合に向けた行動を非難する」と書かれており、ロシアに対して国連憲章、ヘルシンキ宣言、国際法の基本的規範と原則、ジョージア領からのロシアによる自国軍の撤退とが記載される2008年8月12日付停戦合意に従った自らの義務を速やかに履行した上で、更に、ロシアによるアブハジアとツヒンヴァリのいわゆる「独立」を承認した違法決定を変更することが要求されている。

同時に、ウクライナとジョージアは、ジョージアが2008年付停戦合意を遵守しており、ジョージアが一方的に武力の使用を控える義務を守っていることを歓迎するとともに、ロシアに対して同様のことを行うよう呼びかけている。

加えて、共同声明では、ジョージアの被占領地において治安状況、人道状況、人権保護状況が悪化していることへの懸念が表明されている。具体的には、ロシアが頻繁に軍事演習を行ったり、軍事施設を強化したり、占領ラインにそって違法に有刺鉄線の柵や人工的防壁を設置することで「境界」を作ったり、ジョージア人への民族差別、深刻な人権侵害、移動の自由の制限、違法な拘束・拉致、極端に長期にわたる検問地点の閉鎖が挙げられており、これらにより状況が不安定化し、紛争地の治安・人道状況に深刻な影響がもたらされていると説明されている。

また、ジョージアとウクライナは、ロシアに対して「ジョージア領であるアブハジアとツィヒンヴァリへの国際人権団体のアクセスを認める」ことを要請した。

声明には、「私たちは、ロシア連邦がジョージアに対して強めているハイブリッド戦争の手段や、捏造されたプロパガンダ的神話を非難する」と書かれている。とりわけ、その情報攻撃が常に、ジョージアにて新型コロナウイルス感染(COVID-19)拡散対策を行なっているジョージア国家保健センターの一つであるリチャード・ルガー・センターに対して行われていると指摘されている。

声明は、「ジョージアの国際的に認められた国境内での主権と領土一体性への完全な支持を再確認する」と結ばれている。