【MH17撃墜】オランダによる対ロシア提訴、欧州人権裁に登録

欧州人権裁判所は、オランダ政府よる2014年のマレーシア航空機MH17撃墜への関与に関するロシア連邦への提訴を登録した。

欧州人権裁判所広報室が公表した

「オランダ政府は、欧州人権裁判所へロシア連邦に対する提訴を提出した。これは、2014年7月17日のウクライナ東部上空でのMH17機撃墜に関係する」と書かれている。

同発表には、オランダ政府によれば、同機はロシア連邦に属し、同国が提供した地対空ミサイル・システム「ブーク」により撃墜された、と書かれている。

その上で、オランダ政府は、ロシア政府は298名の死亡の責任を負っており、欧州人権条約の第2条(生存権)、第3条(拷問、非人道的扱い、品位を傷つける扱いの禁止)、第13条(実効的救済手段を得る権利)を侵害していると主張しているとのこと。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイル・システム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

オランダ政府は、2018年5月、オーストラリア政府とともに、MH17撃墜事件への関与につき、ロシアを正式に断罪している。

また、2020年3月から、オランダのスキポール裁判コンプレクスにて、MH17機撃墜事件の公判が始まっている。