三者グループ・ロシア代表「現在ウクライナには更に二つの国家がある」と発言 ウクライナは糾弾

ウクライナ、ロシア、欧州安保協力機構(OSCE)からなり、ドンバス情勢解決協議を行なっている三者コンタクト・グループ(TCG)のロシア連邦代表ボリス・グルイズロフ氏は、8日の会合にて、「現在、ウクライナには更に二つの国家がある」と発言した。

同発言につき、OSCEウクライナ代表団は、ロシア側に対して、その発言はロシア連邦がいわゆる『DPR』『LPR』を承認する意図があることを意味するのか、真意につき説明を求めている。ウクルインフォルムのウィーン特派員が伝えた。

イェウへーニー・ツィンバリュク駐ウィーン国際機関ウクライナ常駐代表は、9日のOSCE常設理事会会合の際、「ドンバス紛争が国内的性質のものだとするロシアのプロパガンダ的言説に関係する話だが、私たちは、昨日(8日)、TCGのロシア連邦代表であるボリス・グルイズロフ氏が『今日、ウクライナには更に二つの国家がある』と述べたことにつき、明確な説明を聞きたく思っている」と発言した。

ツィンバリュク氏は、アレクサンドル・ルカチェシェヴィチ駐OSCEロシア連邦常駐代表に対して、「昨日のグルイズロフ氏の発言は、ロシア連邦がミンスク諸合意を離脱する意向を有していることを意味するのか、それともその占領地を承認する計画があるという意味であろうか」と説明を求めた。

更にツィンバリュク氏は、ウクライナは一時的被占領下にあるドネツィク・ルハンシク両州に在住する自国民との対話の準備があるとの立場を繰り返し説明してきたと喚起しつつ、同時に「しかし、それはロシア国籍を有し、ウクライナの地元住民を代表する合法的権利を持たない人物との対話準備ではない」と指摘した。同氏は、ウクライナはTCGウクライナ代表団に顧問のステータスにて被占領地出身者を加えることを通じて、そのような対話を実現していると発言した。

ツィンバリュク氏は、「ロシアとウクライナ、そして仲介役としてのOSCEが署名したミンスク諸合意は、ロシアがコントロールする違法武装集団をウクライナ領から撤退させること、ウクライナ政府による完全な国境コントロールの回復、ウクライナのドネツィク・ルハンシク両州一部地域の地方自治の特別規定の適用を定めていることを喚起する」と強調した。

同氏はその上で、ロシアが現在まで、自らの紛争上の役割に関する立場を変えず、二国間紛争の当事者としての責任を示していないことを指摘し、反対に「クリミアの違法占領を強行に否定し続け、ドンバスでは自らの傀儡の後ろに臆病なまでに隠れ、その傀儡との『直接対話』を主張しているのだ」と説明した。

ツィンバリュク氏は、ロシアのそのような行動について「三者コンタクト・グループ(TCG)とその作業部会の協議の効力を激しく損なわせるもの」だと指摘し、同国のそのようなアプローチは、時間と労力を二国間紛争の本質的議論ではなく形式的な問題に費やさせるものであると主張した。

写真:コメルサント