外務省、露のクリミア・タタール代表機関禁止から4年経過を喚起 解除に向けた圧力呼びかけ

ウクライナ外務省は、ロシア連邦が国際司法裁判所(ICJ)の命令を履行せず、4年にわたりクリミア・タタール民族代表機関「メジュリス」の活動を禁止し続けていることに関し、国際社会に対して、ロシアへの圧力・制裁を継続するよう呼びかけた。

26日、ウクライナ外務省がロシアによるメジュリス禁止から4年経過したことを喚起する声明を発出した

声明には、「ウクライナ領一部被占領地域であるクリミア自治共和国・セヴァストーポリ市における、ロシア占領政権によるクリミア・タタール民族代表機関『メジュリス』活動禁止から4年が経過した。その後、占領国の高等裁判機関は、この違法決定を支持している。ロシア占領政権によるクリミア・タタール人の高等代表・執行機関の禁止は、国際人道法と、人権への深刻な侵害の更なる証明、人種差別の表れであり、更には、占領軍から実質的に機関銃銃口を向けられた中で組織され、国際社会に違法だと認定された2014年3月16日のいわゆる住民投票の偽の結果と占領に同意しない人物に対する、脅迫と迫害の大規模キャンペーンの要素ともなっている」と書かれている。

外務省は、クリミアにて続く、占領に同意しない人々への弾圧により、約120名のウクライナ国民がロシア連邦領あるいは被占領下クリミア領にて違法に拘束される、あるいはロシアにより政治的動機で有罪判決を受けており、その半数以上がクリミア・タタール人だと指摘した。更に、過去半年で占領政権がメジュリス・メンバーや、エミネ・アヴァミレヴィー・アブドゥレシタ・ジェパロヴァなど、クリミア・タタール活動家に対して、「集会法」への違反を認めないとの警告が大規模に送られているという。

その上で、外務省は、ロシアによるメジュリスの活動禁止は、同国による人種差別撤廃条約、欧州評議会人権・基本的自由保護条約を含む国際法の基本的規範や、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」(2007年9月13日採択)が与えるウクライナ・クリミアの先住民族が有す代表・自決の権利の侵害であると指摘。そして、国際司法裁判所(ICJ)がロシアによるクリミア・タタール民族の権利侵害を審議しており、2017年4月19日には、ICJがロシアに対して、メジュリスの活動を再開させること、クリミアにウクライナ語での教育を保障することを命令したことを喚起した。外務省は、ロシアはこのICJの命令を3年にわたり無視し続けているとし、その命令不履行も今後ICJにて同件本題審議の際の審議対象となることを指摘した。

最後に外務省は、「本件に関連し、私たちは、国際社会に対して、ICJの命令を履行させ、クリミアにおけるクリミア・タタール・コミュニティへの圧力を停止させるべく、ロシアへの圧力を続け、制裁を強化するよう呼びかける」と強調した。