外務省:ロシアのドンバス住民への国籍付与決定は法的に無意味であり、無効化すべき

プーチン露大統領が発出した、ロシアにより占領されるドンバス地方に居住するウクライナ国民に対し、ロシア国籍を付与する際の手続きを簡略化する大統領令につき、ウクライナ外務省は挑発的で犯罪的決定であるとして強い抗議の意を表明した。

24日、ウクライナ外務省が声明を発出した。

声明には、「ウクライナ外務省は、ウクライナ領ドネツィク・ルハンシク両州一時的被占領地域においてロシア国籍を違法に付与する道を開くロシア大統領令につき、断固とした抗議の意を表明する。私たちは、同大統領令は法的に無意味なものであり、ロシア占領下のドンバス地方に居住する住民のウクライナ国籍への帰属を変更するものではないとみなす」と書かれている。

外務省はまた、ロシアによる今回のウクライナの国家主権と領土一体性への更なる侵害は、自らが当事者であるミンスク諸合意の破綻を目論む意図的な行為であると強調した。

声明には、「このような行為は、著しい内政干渉であると同時に、ウクライナ領ドンバスに対するロシアの『にじり寄るような』侵略の試みの継続である。これら行為は、選挙直後の時期におけるウクライナの内政状況を不安定化させることを目的としており、ロシアの侵略継続の意思を示すものであり、同国が情勢沈静化に関心を有していないことを証明するものである」と強調されている。

外務省は、今回のウクライナ国民への違法な国籍付与は、ロシアがウクライナ領を占領しているという事実を自ら認める行為となっていると指摘し、「今回の行為により、ロシア発の『ウクライナの内戦』なる重要プロパガンダが、改めて否定されている」と説明した。

さらに、声明には、これまでにもロシアがその他の紛争で占領した領地(編集注:ジョージアのアブハジア等)で、更なる侵略の法的・人道的口実にすべく、ロシア国籍を住民に付与してきた例があることを指摘した。

その上で、外務省は、「これに関連し、私たちは、ロシア政権に対して、この恥ずべき決定を無効化することを要求する。同時に、私たちは、国際社会に対して、政治的・外交的かつ制裁的圧力を侵略国に対して強化するという対応をとることを呼びかける」と強調している。

これまでの報道にあるように、4月24日、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツィク・ルハンシク両州被占領地域在住の住民を対象に、ロシア国籍を簡略手続きで取得することを可能とする大統領令に署名した。