OSCE国境監視団、露国境検問地点「グコヴォ」と「ドネツク」のみでの活動を5月まで継続

欧州安全保障協力機構(OSCE)は、ウクライナ・ロシア間国境のロシア側国境検問地点「グコヴォ」と「ドネツク」(ロシアのロストフ州)にて活動する国境監視団(OM)のマンデートを2019年5月31日まで延長した。その際、ウクライナがミンスク合意にもとづいて求めた他の検問地点への活動拡大の提案はロシアにより妨害された。

29日、ウィーンの駐国際機関ウクライナ常駐代表部がウクルインフォルムの記者に報告した。

報告には、「本日のOSCE常任理事会において、OSCE・OMの国境検問地点『グコヴォ』と『ドネツク』における活動マンデートを2019年5月31日まで延長する決定が採択された」とある。

同決定によると、OMのマンデートには変更が加えられず、監視員はロシア側の国境検問地点2か所のみで情勢と越境の監視を実施していくことになる。

決定採択の際、OMを被占領下のウクライナ・ロシア間国境の全ての国境検問地点に拡大するという案を、ロシア代表団が、これまで同様に妨害したとのこと。

これに対して、ウクライナ側は解釈声明を発出。ウクライナは、同声明にて、ロシアがOMを全ての国境検問地点に拡大させないようにしていることは、同国に対ウクライナの侵略を継続するつもりがあることの証明であると強調した。

声明文には、「2014年9月5日に、ミンスク議定書が署名された。ロシア連邦を含む全ての署名者は、OSCEによるウクライナ・ロシア間国境における恒常的監視と検証を保障することと、ウクライナ・ロシア間の国境地域に安全圏を創設することがが義務づけられた(編集注:ウクライナ、OSCE、ロシア、武装集団が署名したミンスク議定書の第4条に記載されている)。今日まで、OSCEによる恒常的監視・検証は確立されておらず、ウクライナ・ロシア間国境地域の安全圏も創設されていない。OSCE・OMの『グコヴォ』と『ドネツク』でのマンデートを、被占領下ドネツィク・ルハンシク両州一部地域の国境の全ての検問地点に拡大することは、ウクライナ東部ドンバス地方の情勢沈静化と平和的情勢解決にとって決定的に重要であり続けており、ミンスク諸合意の具体的項目履行のための重要な方策なのである」と書かれている。

声明には、ウクライナ代表団が、OSCE・OMのマンデートを、ウクライナがコントロールできていない国境検問地点全地点に拡大することを、ロシア連邦が引き続き妨害していることに対して、深い遺憾の意を表明したとある。

そして、ウクライナ代表団は、ロシアがOMの監視地点を増やしたがらないことは、同国がウクライナ東部ドンバス地方に対する侵攻を続けたがっていること、それは、兵器、軍事機器、ロシア正規軍、戦闘員・傭兵を送り込み続け、ウクライナ領でのテロ活動を支援し続けるつもりがあるとみなすことが可能であると強調した。

なお、2018年8月30日、OSCE常任理事会は、OMのロシア側国境検問地点「グコヴォ」と「ドネツク」での活動マンデートを2019年1月31日まで延長していた。このOSCE常任理事会におけるOMの活動マンデートの延長決定の際には毎回、OMの活動地点を2地点だけでなく、被占領地ウクライナ・ロシア間国境の全地点へ拡大することが提案されるが、ロシア代表団が繰り返し妨害している。OSCE常任理事会の決定採択には、全参加国の賛成が必要。

現在のOMの活動は、OSCE常任理事会の2014年7月29日付決定により開始されたものである。