世界の3つの出来事:爆発と正教会

ロシア正教会の総主教は、コンスタンティノープル総主教との直接会談をもってしても、ウクライナ正教会への自治独立付与のプロセスを止めることはできなかった。

ドネツィク市における分離主義者の首長の死は、外政面での反響を呼んだ。ロシア正教会の総主教は、コンスタンティノープル総主教との直接会談をもってしても、ウクライナ正教会への自治独立付与のプロセスを止めることはできなかった。

ヨーロッパでは、自己愛の強いプーチンにとって心地の良いプロセスが観察されている。

ロシアの政権とメディアは、ドネツィク市におけるザハルチェンコの死をプログラム全体に利用した。「ミンスク(諸合意)の破綻」を言いたいがために、彼の排除はロシアのプロパガンダにとって必要だったのではないかと、時々思えてくる(編集注:ミンスク諸合意とは、ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)、武装集団代表が署名した停戦と情勢の政治的解決に関する合意文書)。クレムリンが哀悼を大々的に示すのは理解できる。ラヴロフ・ロシア外務大臣はすでに、ノルマンディ・フォーマット(編集注:ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシア)の首脳による会合開催については話すことはできないと述べた。武装集団・ロシアの傀儡集団の首長の死は、戦術的観点ではロシアに利がある。なぜなら、その死により、ロシアは最低限の妥協からさえ逃れられ、ウクライナを非難して、ウクライナの政治状況が変わるのを待つことができるからである。

先週、陰謀論の好きな人たちは、新鮮な材料を手に入れた。ロシア正教会の総主教キリルがヴァルソロメオス1世コンスタンティノープル総主教を訪問したが、良い結果が得られなかったことの、悪い影響をあたかもザハルチェンコの死で覆い隠さなければいけない、というような話である。強力な正教会の総主教達の会談は冷ややかに行われた。そして、聖職者会議がコンスタンティノープル 総主教庁に自治独立を付与する権利があることを確認すると、ヴァルソロメオスとキリルの対立はより深まることになった。事実、キリル総主教は、クレムリンにて、なぜうまくいかなかったのかを説明しなければならない。

一方、ヨーロッパでは、「プーチン理解者」の数が増えていることも思い出さなければならない。例えば、エマニュエル・マクロン・フランス大統領は、敢然と、ロシアとトルコを参加させる形でのヨーロッパ防衛同盟の考えを発表している。マクロン大統領は、この大陸規模の考えを持って、自らの人気の低下を防ごうと努力している。マッテオ・サルヴィーニ・イタリア内務大臣とオルバーン・ヴィクトル・ハンガリー首相の会談は、ヨーロッパで目立って伸長している右派・民族主義勢力の団結の一要素と見られている。2019年春の欧州議会選挙は、伝統的なヨーロッパの価値にとっての挑戦となりそうである。

イェウヘン・マフダ国際政治研究所所長