EU、ウクライナ中銀総裁辞任可能性につき「不安なシグナルだ」

欧州連合(EU)は、ヤキウ・スモーリー中央銀行総裁が政治圧力を受けて辞任すると表明したことにつき懸念を表明するとともに、ウクライナ政権が改革とEUとの協力における義務を維持し続けることへの期待を表明した。

2日、欧州対外行動庁が報道官声明を発出した

声明には、「ヤキウ・スモーリー・ウクライナ中央銀行総裁があり得る政治的圧力の結果として辞任すると発表したことは、不安なシグナルを送るものである。中央銀行は、自らの役割を独立して履行する能力を維持せねばならない。この重要な機関の弱体化は、ウクライナにおける改革議題への信頼と支持に対して否定的な影響をもたらす」と書かれている。

また、声明には、強固で独立した中央銀行の確立は、ウクライナにとっての根源的達成であり、同国の将来の成功にとって決定的に重要であり続けていると指摘されている。

更にEUは、「過去数年、ウクライナ中央銀行は、ウクライナのマクロ金融安定性の確保と、持続可能な経済回復のために確固とし、非常に不可欠なステップをとってきた。中央銀行の政策は、通貨を安定させ、インフレを抑制し、外貨準備を増やし、銀行分野全体を再建し、銀行詐欺によって失われた資産を回復することを通じて、ウクライナの人々と経済によく奉仕してきた」と説明している。

声明には更に、改革によるウクライナの前進は、とりわけ新型コロナウイルス感染の世界的流行下において、困難であることが指摘されている。その上で、EUは、引き続き非常に必要な改革の履行においてウクライナをサポートし続けると伝えるとともに、ウクライナ政権が自らの負う義務を維持し続けることへの期待を表明している。

これに先立ち、1日、スモーリー中央銀行総裁が大統領に辞表を提出したと発表していた。

その際、スモーリー総裁は、「長期にわたりウクライナ中央銀行には体系的な政治的圧力がかけられている」と述べており、「それにより、私は総裁として中央銀行の活動統括義務を効果的に履行し、その他の国家機関と連携することができなくなっている。私は、自らの辞職をもって、ウクライナ中央銀行の組織的基盤に対する更なる破壊の試みを警告したく思う」と強調していた。

これに対し、国際通貨基金(IMF)やG7大使ウクライナ・サポート・グループがすでに懸念を表明している。

写真:中央銀行