富豪のコロモイシキー氏「プリヴァト銀行は要らないが、20億ドルの資本は返させるべき」

大富豪(オリガルヒ)のイーホル・コロモイシキー氏は、自身が以前所有しており、後に国有化された「プリヴァト銀行」を取り戻すつもりはないが、20億ドルの資本は取り戻したいとの意向を示した。

8日、コロモイシキー氏が経済プラウダ通信へのインタビュー時に発言した。

記者から、プリヴァト銀行国有化に関する補償を求めるつもりかとの問いに対し、「私は、プリヴァト銀行は要らない。しかし、同銀行には20億の資産があったのだ。それを返させれば、問題はない」と発言した。

同氏はまた、同銀行の国有化の際に何らかの違法行為があったことを裁判所が確立したら、「何らかの手段で、合意なり、解決なり、訴訟なりをしていくだろう」と述べた。

同氏は、「必ずしもすぐに訴訟をするわけではない。私は、国家の立場が良く分からない。彼らは、プリヴァト銀行を所有しておきたいのか?そうであるなら、所有させておけばいい」と発言するとともに、プリヴァト銀行は国にとっての重荷となっているとも述べた。

同氏は、ウクライナの政権が交代したら、「誠実で公正な裁判所が生まれ、(編集注:プリヴァト銀行国営化につき)公正な法的評価が行われることを期待している」と発言した。

プリヴァト銀行の国有化は、2016年12月に、ウクライナ中央銀行とプリヴァト銀行の株主によってウクライナ政府に提案されたもの。その際のプリヴァト銀行の最大の株主は、イーホル・コロモイシキー氏と富豪ヘンナジー・ボホリュボウ氏であった。ウクライナ政府は、提案を受けて、プリヴァト銀行を国有化し、そのプロセスに計1550億フリヴニャ以上を拠出していた。

2018年9月、キーウ(キエフ)区行政裁判所は、プリヴァト銀行が支払能力を失っているとする中央銀行の評価を合法的だと認めていた。

コロモイシキー氏は、最近、大統領選挙後にプリヴァト銀行を巡る補償金を受け取ることへの期待を表明していた。

一方で、本件につき、大統領選挙決選投票に進むヴォロディーミル・ゼレンシキー候補は、コロモイシキー氏が国有化されたプリヴァト銀行を取り戻さなければならない理由は理解できないとし、コロモイシキー氏がどうなろうが自分には関係ないと発言していた。

また、報道では、米FBIが、コロモイシキー氏による資金洗浄をはじめとするあり得る金融犯罪に関する捜査を行っていると伝えられている。