ウクライナの合法就労者数が1か月間で15万増加

政府の進める「影の就労」(非公式就労)削減方策が効果を上げている。1か月間で、合法就労に転じた国民数は、少なくとも15万人に上った。その結果、年内の年金基金へ入る額は少なくとも11億フリヴニャ増加する予定である。

5日、ヴォロディーミル・フロイスマン首相が政府による非公式就労削減キャンペーンの中間報告として、コメントした。閣僚会議(政府)公式ウェブサイトが伝えた。

フロイスマン首相は、「給与問題は、国民保護の問題である。私たちは、何百万人の就労者に責任を負っている。私たちは、連携を強化し、労働者の利益を保護しなければいけない。影の就労(シャドー・エコノミー)から抜け出た人々は、合法的給与を受け取ることになり、それにより尊厳ある年金を得られるようになるのである」と発言した。

首相は、脱「影の就労」キャンペーンが首相のイニシアティブで10月に開始したこと、同キャンペーンが、複数の省庁、具体的には、財務省、社会政策省、年金基金、国家財政庁、国家労働庁の密接な連携によって行われていることを指摘した。合法的に活動するビジネスは、全ての税金を払い、各社で社会プログラムを積極的に支援することで、脱「影の就労」において政府と連携しているとしつつ、違法活動をする企業は罰金を科されることになることを喚起した。

同時に、フロイスマン首相は、罰金自体が目的なのではなく、「封筒で」給与を渡す(編集注:正しい記録の残らない給与支給を意味する)という慣習を根絶することが重要なのであって、「封筒支給」では年金保険料を誰も納付しないことになることを指摘した。

その上で首相は、「毎月、何人の人が影の経済から抜け出したか尋ねていく。また、毎週、最新情報の会議を開くことを指示する。私たちの同盟相手は、合法ビジネスと国民一人一人である」と強調した。

なお、閣僚会議は、国家労働庁の情報によれば、ウクライナの労働者数は、1600万人を越えているとも発表した。そして、国際労働機関(ILO)の手法で計算した求職者数は約170万、一方で(求職支援を扱う)国家雇用庁に登録されているのは、約30万人。9月には、政府は、労働条件遵守・年金受給年齢達成に関する社会的保護の観点から、就労者の権利保護を目的とした複数の決定を採択した。この決定採択の背景には、就労者の権利が体系的に違反されていること、また、監査院が企業にアクセスできず、法の遵守を確認できないことが続いていたことがある。最も問題が多い業種は、建設、貿易、警備、ホテル・レストランとなっており、これらの業種では、違法就労者・しかるべく手続きのなされていない就労者の数が最も多いことが確認されているとのこと。地域別には、ハルキウ州、キーウ(キエフ)州、イヴァノ=フランキウシク州、オデーサ州が最も多い。

状況改善の手段として採択されたのは、経営者調査であり、すでに罰金制裁適用の文書が13万作成されているとのこと。