ウクライナ軍総司令官、「ウクライナが露領砲撃」「宇工作員拘束」などの露報道を「嘘」だと否定

ウクライナのザルジュニー総司令官は19日、ロシアの報道機関が同日拡散した、あたかもウクライナがロシア領ロストフ州を砲撃したとする情報につき「真っ赤な嘘」であり、挑発行為だと指摘した。

ウクライナ国防省広報室がザルジュニー総司令官の発言を伝えた

ザルジュニー氏は、「ロシアのマスメディアが積極的に拡散している、ウクライナ軍が(ロシア領)ロストフ州を砲撃したとする情報は、真っ赤な嘘であり、挑発である。占領者たちは、『センセーションなニュース』を作るために2014年に自分で作って公開したフェイクを使っている」と発言した。

同氏は、具体的に、ロストフ州に「ウクライナの多連装ロケット砲『グラート』と122ミリ口径の砲弾」が着弾したとする情報は偽情報だと指摘し、「(ウクライナ)統一部隊の火砲は、衝突ラインから21キロメートル以上離れた位置に配置されている。それは、ウクライナ軍の装備にある多連装ロケット砲『グラート』や122ミリ砲のの最大射程距離以上の地点である」と発言した。

またザルジュニー氏は同日、フェイスブック・アカウントにて、ロシア占領者が、ウクライナ側を非難するために、ドネツィク・ルハンシク両州被占領地の民間人に対してテロを偽装しようとしていると指摘した

同氏は、敵が、意図的に一時的被占領地の自治体に向けて砲撃し、民間人にとっての脅威を作り出そうとしているとし、ロシア軍人と情報機関要員が被占領地にて民間人に被害の出るテロを画策していると指摘した。同氏は、その被害をウクライナ非難の口実に利用し、「平和維持軍」を装ってロシア正規軍部隊を侵入させたがっているのだと発言した。

さらに同氏は、その他の偽情報として、あたかもウクライナの工作員が拘束されたというものがあるとし、敵はその偽情報を広めながら、民間人をロシア領へ避難させる際に利用する橋や道の爆破、バス、民間人住居、市民施設の爆破を実施する計画に言及した。同氏はまた、孤児や高齢者をロシア領へ運んでいるバスや電車が特に危険だと指摘した。

その上で同氏は、「改めて強調する。ウクライナは、ドンバスでの進攻を一切計画していない。過去数日の敵からのエスカレーションでは、民間人にも軍人にも犠牲者は出ていない。敵は、民間人、特に女性と子供を強制的に避難させているが、それは自らの血塗られた挑発を実現するためだ。敵の犯罪的意図を伝えることで、私たちは、そのシナリオを怖そうとしている。なぜなら、私たちの主要な課題は、衝突ラインの両側にいる自国民の命を救うことだからだ」と強調した。

なお、ウクライナ東部ドンバス地方前線では、過去数日、ロシア占領軍からの攻撃件数が急増している。ウクライナ統一部隊は、2月19日のウクライナ東部に駐留するロシア連邦占領軍による停戦合意違反は136回だったと発表した