露によるクリミアでの強襲揚陸艦建造は、国際法違反であり半島の軍事化行為=EU

ケルチの造船工場で新しく強襲揚陸艦を2隻建設することは、ロシアによるウクライナの主権と領土一体性へのさらなる違反事例であるとともに、ロシア連邦によるクリミア軍事化を証明するものである。

28日、欧州対外行動庁が欧州連合(EU)報道官声明を発出した

声明には、「違法併合したクリミアとセヴァストーポリのロシアへの強制的な統合の更なる試みを伴う、ロシア連邦によるウクライナの主権と領土一体性を弱める努力は、国際法違反である。最近のケルチにおける二つの強襲揚陸艦2隻建造の起工式は、半島で現在進行中の軍事化の更なる明確なステップであり、黒海の地域安全保障に著しく否定的なインパクトをもたらすものだ」と書かれている。

加えて、ウクライナ国民による大陸側からクリミア半島への移動と、半島からウクライナ大陸側への移動の自由が最近制限されていることも指摘されており、「ウクライナ大陸側へのアクセスと、居住地へ戻る権利は、無条件に認められるべきであり、ロシアの旅券を要求すべきではない」と主張されている。

その上で、EUは、ロシアに対して、「クリミア半島における国際法へのあらゆる違反を止める」ことを期待し続けていると伝えた。また声明には、「EUは、ウクライナの国際的に認められた国境内での独立、主権、領土一体性を一貫して支持している」と書かれている。

これに先立ち、7月20日、被占領下ウクライナ領クリミアのケルチ氏工場「ザリフ」にて、ウラジーミル・プーチン露大統領出席の下で、強襲揚陸艦2隻建造の起工式が開催されていた。プーチン氏は、被占領下クリミアの防衛関連企業のための新たな発注を約束すると述べていた。

本件につき、ロシアの報道機関は、この強襲揚陸艦2隻の建造に約1億ルーブルを拠出するつもりだと報じている。

また、建造予定の強襲揚陸艦は、しばしばフランスのミスラル級強襲揚陸艦の「ロシア版」となると指摘されている。ロシアは、フランスからミストラル級強襲揚陸艦を2隻購入する計画であったが、ロシアが2014年にウクライナへ侵略を開始したことを受け、2015年に仏露間のミストラル級売却契約は破棄された。なお、ミストラル級の1隻目は、売却後に極東のウラジオストクに配備される予定であった。