欧州専門家たち、ウクライナ東部のロシア侵略は国連平和維持部隊にて止められると予想

ウクライナ東部ドンバス地方に国連平和維持部隊を展開することは、ロシア連邦による侵略を止めることになるか。

西側の専門家たちは、この平和維持部隊展開の案を「効果的」だとみなしており、これにより、ウクライナ政府が被占領地域のコントロールを回復できるようになると考えている。

ウクルインフォルムの記者が、欧州の複数研究所の専門家に意見を聞いた。

ブルーノ・レテ(ドイツ・マーシャル基金上級研究員)(ブリュッセル)

レテ氏は、「国際平和維持部隊をドンバス地方に展開するのは、ウクライナにとって悪くないイニシアティブだ。私は、ウクライナ政権に対し、西側パートナー諸国と本件についての連携を続け、ロシアを説得するよう呼びかけている」と発言した。

同氏はまた、ドンバス地方に中立な平和維持部隊を展開させるにあたって主要な障害となっているのは、引き続きロシアであるとし、ロシアが地域の情勢安定化に関心を持っていないことだと指摘した。

更に、ロシアによる抵抗以外の挑戦として、レテ氏は、このような平和維持部隊が国連のものとなるかどうかであると指摘し、国連平和維持部隊のみが効果的に活動し得ると説明した。

レテ氏は、「最善ではないが、複数の国家が、ドンバスの平和維持ミッションに参加するという、独自の独立したイニシアティブを表明するということはあり得る」と指摘した。

レテ氏は同時に、国連安保理では、ロシアが繰り返し拒否権を行使していることから、ウクライナ東部への平和維持部隊展開の決定が採択される可能性については懐疑的な見方を示した。

グスタフ・グレッセル(欧州外交評議会上級研究員)(ベルリン)

グレッセル氏は、欧州と米国のパートナーたちは、ドンバス地方への平和維持部隊の展開イニシアティブを支持していることを喚起しつつ、しかし、過去数年国連安保理で繰り返し議論されてきたが、その平和維持舞台が効果的なマンデートを持たなければ意味がないと指摘した。

グレッセル氏は同時に、ウクライナ、米国、フランス、英国、ドイツによる類似の提案は全てロシアにより妨害されてきたことを喚起した。

同氏は、「西側のイニシアティブは、ミンスク諸合意履行を保障し得る、常に効果的なミッションの展開を目的としてきた。しかし、ロシアはそのようなミッションを欲していない。彼らが欲しているのは、監視をしたり、監視員を保護したりするだけのミッションである。西側にとっては、そのようなミッションは受け入れられない。なぜなら、ドンバス地方には、既に欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視団が活動しているのだから」と説明した。

グレッセル氏はまた、ロシアが提案し得る「罠」について、ウクライナと西側諸国に注意を促した。同氏によれば、その罠とは「3段階プラン」だと指摘する。同氏によれば、そのプランの第1段階では、平和維持ミッションは、ドンバス地方のコンタクト・ラインまで展開でき、第2、第3段階で、ミンスク諸合意の履行が可能になるような内容だという。

その上で、グレッセル氏は、「ロシアは、そのプランの第1段階までは合意するかもしれない。しかし、その後の段階は、国連安保理にて拒否をするだろう」と説明した。そして、同氏は、そのロシアの目的は、「実質的にドンバスを併合すること」だとの考えを示した。

ガリ・カルトライト(EUトゥデイ編集長)

カルトライト氏は、過去に平和維持ミッションに参加した経験がある。同氏は、ウクライナ東部で、ウクライナ国民の支持を受ける国際ミッションは、確実に効果的な決定となるだろうと明言した。同時に、カルトライト氏は、ロシア連邦にとってはそのような情勢の進展は受け入れられないものだろうとも指摘した。

カルトライト氏は、英国のEU離脱(Brexit)により、欧州連合(EU)は地域内最大の軍事力を失うことになると指摘し、「しかし、英国は安全保障の分野ではEUとウクライナを支持し続けるであろうと、私は確信している」と強調した。