「ケルチ海峡からソールズベリーまで」NATO事務総長、ロシアの脅威を語る

24日、ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長は、ダボスで開かれた世界経済フォーラムでのNATOの将来に関する議論にて、世界の劇的な変化の中のNATOの課題について説明した。

ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ストルテンベルグ事務総長は、「NATOの役割は、1949年時点と変わらず、同盟国全ての防衛である。当時同様、私たちは皆、個々でいるより皆でいる方が安全を感じるということを理解している。大きな違いは、現在私たちは以前とは異なる世界を生きているということであるが、NATOはその変化に適応している」と発言した。

同事務総長はまた、世界はこれまでよりはるかに複雑になっていると言う。数十年前の安全保障面の挑戦は、西側・NATOとソ連・ワルシャワ条約機構の対立の結果生じたものであったが、しかし、現在、その片側であったソ連は既に存在せず、ワルシャワ条約機構加盟国8国のうち7国はNATOに加盟していると説明された。

同事務総長は、脅威の性格も変化したと説明する。その中には、サイバー脅威、テロリズム、大量破壊兵器の拡散、地域の不安定化が挙げられ、また安全保障分野での覇者を目指すロシア、中国、アメリカといった国から挑戦が生じていると指摘された。そして、同事務総長は、大きな挑戦となっているのは、ロシアの行動であるとし、同国が「ケルチ海峡から(英国)ソールズベリーまで」様々な地域で攻撃性を発揮し続けていると主張した。

また、同事務総長は、「大きな懸念を呼び起こしているのが、私達の安全の基盤となっている中距離核戦力全廃条約(INF全廃条約)の破綻の可能性である。この条約は、1987年に署名されたものであり、特定のミサイルを禁止するものである。現在の問題は、ロシアが条約に違反する形で欧州に新しいミサイルを展開していることである。アメリカは、12月に外相会談を行った際に、2月2日までにロシアが条約に回帰しなければ、アメリカはこの条約から離脱すると発言した。私たちは、明日、ブリュッセルでのNATOロシア理事会会合にてロシア側と会談する。私たちの主な課題は、ロシアをこの条約に回帰させるよう説得することである」と指摘した。

写真:World Economic Forum / Ciaran McCrickard