【MH17裁判】公判初日終了 犠牲者の名前読み上げ 容疑者は出廷せず

3月9日、オランダのスキプホール裁判コンプレクスにて、2014年7月のウクライナ東部におけるマレーシア航空機MH17撃墜事件の公判が始まった。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

法廷では、オランダの検察官デディ・ヴイ=ア=ツォイ氏が、MH17撃墜事件の被害者全員の名前を読み上げた。

法廷には、2名のオランダ弁護士事務所の弁護士とロシアの弁護士がおり、4名の容疑者の内の1人オレグ・プラートフ氏(ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)元特別部隊所属)の利益を代表している。容疑者4名自身は出廷していない。

容疑者の弁護士の一人サビナ・テン・ドゥスハテ氏は法廷にて、「彼(プラートフ容疑者)は、無実であり、彼は責任を負っておらず、同機撃墜には関与していない」と発言した。同氏は、プラートフ氏の弁護は裁判を長引かせることが目的ではないとも述べつつ、同時に、法的規範に従い、弁護士は、捜査内容を把握するための時間を必要とすると指摘した。

また、ヘンドリック・ステインガユス判事は、遺族84名から賠償金を要請する声明が届いたと発表した。

法廷には、裁判官と容疑者の弁護士の他、25名の遺族が傍聴していた。

公判は、3月10日午前10時(現地時間)に再開される。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

公判は、ハーグから約50キロ離れたスキプホールの裁判コンプレクスにて行われている。