米軍制服組トップ「ウクライナ軍が2023年中に全ての被占領地から露軍を排除するのは非常に難しい」

米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は20日、2023年中にウクライナ軍はより多くの領土の解放のための大規模反攻作戦実施のためのあらゆる能力を得ることになるが、他方、年内に全てのウクライナ領からロシア軍を排除するのは非常に難しいだろうと発言した。

ミリー米軍統合参謀本部議長が第8回ウクライナ防衛問題コンタクトグループ(ラムシュタイン会議)会合後に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ミリー氏は、「軍事的観点からは、私は、今年ロシアが占領しているウクライナ領のあらゆる場所からロシア軍を軍事的に排除するのは非常に困難だろうと、今も思っている。それは、それが起こり得ないということでもなければ、起こらないだろうということでもなく、それは非常に困難だろうということだ」と発言した。

同氏はまた、両国戦力の間で戦闘の生じている衝突ラインは非常に長く、米国領で言うとワシントンからアトランタまでの距離(編集中:約850キロメートル、およそ東京から福岡までの直線距離)だと述べ、「それは大きな領土であり、そのロシアの占領するウクライナ領に今も多くのロシア戦力が残っている」と指摘した。

同氏はその点で、近い将来は戦線を安定させる継続的な防衛が行われるだろうとし、その情勢は西側武器のウクライナへの供給とウクライナ軍人へのその武器の運用訓練に左右されていくと予想した。

同氏は、「私は、ウクライナ人が戦術的あるいは作戦的なレベルで重要な攻撃作戦を行い、ウクライナの領土をできるだけ多く解放することは十分に可能だと考えている」と指摘した。

同時に同氏は、その他の多くの過去の戦争と同様、ロシアの対ウクライナ戦争も、最後は協議のテーブルについて終わることになるだろうとし、その協議で和平の条件が両国の首脳陣によって決められると指摘した。そして、そのために米国、同盟国、パートナー国はウクライナの立場を強めているのだと補足した。

他方で同氏は、戦争がより早く終結する道もあるとし、「プーチン大統領は、今日にでもこの戦争を終わらせることが可能だ」と喚起した。その際同氏は、この戦争はプーチンの選択で生じたものであり、この戦争が「ロシアにとって完全な大惨事」に変貌してしまう前に、この戦争を止めることが彼にとっての利益である、と強調した。