ウクライナ正教会、被占領下クリミアの教会破壊を非難

ウクライナ正教会は、被占領下クリミアの「裁判所」による、シンフェローポリ市の聖ヴォロディーミル・聖オリハ大聖堂とイェウパトリヤの教会の破壊を可能とする判決を非難した。

20日、ウクライナ正教会聖会議による声明がフェイスブック上に公開された

声明には、「ウクライナ正教会聖会議は、2019年11月19日の会合にて声明を採択し、クリミアのロシア占領政権による信仰の自由を侵害する政策を継続する暴力的態度を非難した。同政策は、占領政策・半島併合の開始から体系的に継続されている。この政策により、市民やウクライナ正教会の信者だけでなく、プロテスタントやイスラム教徒といったその他の宗教コミュニティも苦しんでいる」と書かれている。

ウクライナ正教会聖会議は、ウクライナ大統領、閣僚会議(内閣)、治安機関に、クリミアにおけるロシア占領政権の暴虐な行動に然るべき評価を下し、外交的手段で、そのような行動を止めるための方策をとるよう呼びかけた。

また、ウクライナ正教会は、全ての正教会信者に対して、「被占領下クリミアで、ロシア政権の迫害に苦しむ兄弟姉妹のために、また神が、シンフェローポリ市の聖ヴォロディーミル・聖オリハ大聖堂とイェウパトリヤの母なるマリアのイコン『燃え尽きないシバ』記念教会の破壊から守護するよう、祈りを捧げて欲しい」と呼びかけた。

なお、シンフェローポリ市の聖ヴォロディーミル・聖オリハ大聖堂では、クリミアのウクライナ正教会信者のために聖体礼儀が執り行われている。

ロシアのクリミア資産・土地関係省は、2019年2月、クリミア教区との間の契約が既に切れているとし、この大聖堂の建物を明け渡すように要求し始めた。

6月28日、ロシアがコントロールするクリミアの「仲裁裁判所」は、大聖堂の建物を同省に使用可能にするよう義務付ける判決を下していた。その際、クリメント大主教は、同判決を控訴すると述べていた。

6月中旬から、大聖堂内でウクライナ正教会クリミア教区側の同意なく、クリミア資産・土地関係省主導の工事が開始されていた。

9月16日には、クリミアで活動するクリメント・ウクライナ正教会大主教がゼレンシキー大統領に対し、同大聖堂の保護を要請していた。

この他、ロシア占領政権は、イェウパトリヤにある、ウクライナ正教会の教会も取り壊そうとしている。