オーストリア最高裁、ウクライナ人大富豪のフィルタシュ氏を米国に引き渡すことを支持

オーストリア最高裁判所の裁判官団は、ウクライナの大富豪(オリガルヒ)ドミトロー・フィルタシュ氏側の上告を退け、ウィーン高裁が第二審で下した、同氏の米国への引き渡しの決定を維持した。

25日、ウクルインフォルムのオーストリア特派員が伝えた。

オーストリア最高裁は、本決定により、フィルタシュ氏の米国裁判所への引き渡しを実質的に支持したことになる。

また、同日、最高裁は、検事総局が提出していた棄却要請も否決した。検察側は、米国側によるフィルタシュ氏の引き渡し要請における政治的動機の不在が十分に確認できていないと主張していた。これに対して、最高裁裁判官団は、米国側の逮捕要請には、刑法違反の存在のみが確認されていると説明した。

ドミトロー・フィルタシュ氏のオーストリアから米国への引き渡しの最終的決定は、オーストリア司法相が決定する。

なお、同日の裁判には、フィルタシュ氏を支持すべく多くの人物が傍聴しに訪れていた。ウクライナの政治家も傍聴しており、とりわけ、セルヒー・リョーヴォチキン最高会議議員(野党・生活党)(オリガルヒ)やミハイロ・パピイェヴァ議員などの姿が見られた。

なお、グループDF社の所有者であるドミトロー・フィルタシュ氏は、2014年3月12日に、米国司法省の要請を受けたオーストリア治安機関がウィーンで拘束していた。米国司法省は、フィルタシュ氏がインド政権の高官に対し、インド国内のチタンの原材料採掘のための許可を得るために賄賂を渡した容疑をかけていた。フィルタシュ氏の企業が製造予定であった製品は、米国のシカゴを本拠地とするボーイング社に売却される予定であった。

フィルタシュ氏のオーストリアから米国への引き渡し手続きは約5年間続いていたことになる。

なお、同日、米国の法律家であるジン・バード氏の「アメリカの声」通信へのインタビューにおいて、フィルタシュ氏は80年強の実刑判決を受ける可能性があると述べた