シメオン・ウクライナ正教会モスクワ聖庁府主教「我々が加わろうが加わるまいが、ウクライナ独立正教会は創設される」

ヴィンニツャ・バル府主教区のシメオン府主教は、13日のウクライナ正教会モスクワ聖庁主教会議において、出席者83名のうち、唯一、会議決議に署名しなかった人物である。このシメオン府主教は、ウクライナ独立正教会が創設されることを確信していると述べた。

シメオン府主教は、ウクライナ独立正教会は創設される、そして、ウクライナ正教会モスクワ聖庁が自発的にこのプロセスから抜け出たことを残念に思っていると述べた。

ウクルインフォルムに対して、同府主教が述べた。シメオン府主教の発言は以下のとおり。

「私は、これまで一度も(ウクライナ正教会の)独立を支持しているということを隠したことはない。しかし、私は、我々(ウクライナ正教会モスクワ聖庁)の聖職者達の大半と同様、私たちが独立を受けるのはロシア正教会からとなることを期待していた。私たちが独立について想定していた手段は、教会法に基づいた手段のことであった。しかし、最近モスクワ総主教庁(ロシア正教会)が最近採択している決定や、モスクワの我々の指導者達のレトリックを見ると、このような独立を期待しうる根拠はない。また、現在ウクライナ正教会(モスクワ聖庁)の内側で生じているプロセス、具体的には、11月13日の主教会議の決議採択は、それは、独立付与とウクライナ独立正教会創設のプロセスにブレーキをかけようとするさらなる試みだと、私は思う。我々(ウクライナ正教会モスクワ聖庁の聖職者)が加わろうが加わるまいが、独立正教会は創設される。そして、私は、私たちが自発的にこのプロセスを抜け出ることは残念に思っている。本来なら、私たちは、1万2000の小教区を抱えるウクライナ最大の正教会として、このプロセスを主導し、自らの条件を示すことすらできたはずであった。」

統一されたウクライナ独立正教会創設をめぐる情勢は今後どうなると思うかとの問いに対し、シメオン府主教は、今のところ誰も統一会議の開催日を知らないと答えた上で、「しかし、その前に、大統領が、可能な限り、全ての(モスクワ聖庁の)聖職者と面会し、独立付与プロセスとウクライナ独立正教会の創設に関わる質問に答える意思を持っていることは知っている。11月13日、『ウクライナの家』を訪れた私たち3名の聖職者との会談時、大統領自らがそのことを述べていた。その会談は有益であったし、非常に真心ある対話であった。私は、その対話に我々(モスクワ聖庁の)聖職者全員が参加しなかったことを残念に思っている。なぜなら、我々同様、彼らも、彼らが本当に悩んでいる非常に重要な質問に対する回答を得られたであろうからである」と強調した。

また、同府主教は、「大統領はこの(聖職者との)会談を心から待ち望み、聖職者達との有益な対話を期待していたのだろう」と述べた。

すでに報じられているように、10月11日、コンスタンティノープル総主教庁聖会議は、ウクライナ正教会への独立に関するトモス付与の決定を下した。現在、キーウ(キエフ)において、ウクライナ正教会キーウ聖庁、同教会自治独立派、同教会モスクワ聖庁の聖職者による会議が招集されることになっている。同会議では、コンスタンティノープル総主教庁に対して、トモス要請がなされることになる。会議は、諸教会の統一を行い、統一されたウクライナ正教会が創設され、同正教会の総主教が選出されることになる。

これを受け、10月15日、ミンスク(ベラルーシ)で開催されたロシア正教会会合は、コンスタンティノープル総主教庁がウクライナ統一教会に独立を近々付与する決定を採択したことを受けて、同総主教庁との教会対話を断絶する決定を採択した。

11月13日、ウクライナ正教会モスクワ聖庁主教会議は、主教、聖職者、教衆がウクライナ教会の独立に関するトモス(編集注:正教会の公布文書)の付与プロセスには加われないとする決定を採択していた。また、同会議は、コンスタンティノープル総主教庁聖会議による10月11日付のウクライナの地におけるコンスンタンティノープル総主教庁の管轄権確立を非難し、聖餐対話を停止すると発表した。さらに、モスクワ聖庁は、コンスタンティノープル総主教庁聖会議の10月11日付のウクライナ正教会関連の決定を「向こうであり、何ら教会法上の拘束力を有さないもの」と主張した。

報道では、このシメオン・ヴィンニツャ・バル府主教は、83名のモスクワ聖庁会議出席者のうち、唯一、決議に署名しなかった人物であったとのこと。

なお、13日には、「ウクライナの家」における大統領とモスクワ聖庁と聖職者との会談も予定されていたが、聖職者側が「教会領でない」ことを理由に会談出席を拒否したとのことが伝えられていた。一方で、実際には、このシメオン府主教区を含む、3名(他2名は、オレクサンドル・ペレヤスラウ=フメリニツィキー・ヴィシネウシキー府主教とフィラレート・ノヴォカホウシキー・ヘニーチェシキー大主教)のモスクワ聖庁主教が大統領との会談を行っていたことが判明していた。