「冗談だろうか?」 米紙、米独ノルド・ストリーム2合意を批判

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、バイデン米大統領政権の外政で観察される問題点として、発言は厳しいが、その後の行動が弱いと指摘した。

WSJ紙が社説「バイデン氏、厳しく話すも、行動はわずか」を掲載した

同紙は、主張の根拠の一つとして、独露間で建設されているガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関する米現政権の立場を挙げた。

記事には、「バラク・オバマ氏とドナルド・トランプ氏は、ロシアからドイツへ直接輸出される天然ガスの量を2倍にし得る110億ドルのガスパイプラインに反対してきた。しかし、バイデン政権は、今回同プロジェクトの完成を祝福し、ウクライナと欧州のエネルギー面の独立を犠牲にウラジーミル・プーチンに大きな戦略的勝利をプレゼントしたのだ」と書かれている。

ホワイトハウスは、同ガスパイプラインはいずれにせよ完工されるのであり優先課題は米独関係の改善としなければならないと主張。同時に、今回の米独共同宣言では、ドイツは、「ロシアがエネルギーを武器として利用としたり、ウクライナに対してさらなる攻撃的行動を取ろうとしたりした場合」、制裁を発動することを約束している。

WSJは、その点につき、皮肉をこめて「その日、クレムリンから大きな笑い声が聞こえたのだ」と形容した。

記事では、ロシアの侵略と戦い続けているウクライナにおいて、今回の米独合意が歓迎されていないことが指摘されており、ロシアは別のルートでガスを輸出するであろうから、ウクライナは数十億ドルの輸送費を失うことになる可能性があると説明されている。さらに、米国とドイツがロシアに対してウクライナに輸送費を支払うよう要請していることについては、WSJは「冗談だろうか?」と皮肉っている。

その上でWSJは、修正主義国家のロシアに対して、欧州経済へのさらなる影響力手段を与えることは、米国の国益に適わないと指摘している。また、バイデン政権の高官が外交の力を信じている点に関しては、柔和な外交は「悪意を持った強固な敵に対しては何も達成できない」として批判されている。

これに先立ち、21日、米国とドイツは、独露間海底ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関する合意を発表した。同合意によれば、ロシアが同パイプラインをウクライナに対して武器として利用した場合には、ドイツが一国で対応する他、欧州連合(EU)に対して制裁を含めた効果的方策を採るよう要請することになる。

今回の合意につき、ウクライナとポーランドは、独露間ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」はウクライナや中欧全体に対する政治、軍事、エネルギー面の脅威を生み出すものであり、21日に発表された米国とドイツによるロシアのガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」に関する合意はそれを止める試みを拒否するものだとして批判している。